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九州の「拠点」を直撃取材

「あの政見放送はウケ狙い」──外山恒一、また選挙に立候補(前編)

2008年04月15日 09時00分更新

文● 細谷滝音

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左翼活動家からファシストへ


── 都知事選のプロフィールでは、以前は「異端的極左活動家」だったそうですが、外山さんはこれまでどういうことをしてきた方なのですか?

外山 今でこそ左翼という言葉はイメージが悪いし、最近の若者は目覚めると右に行っちゃうけれど、僕が学生だった80年代というのは、若者は目覚めると左に行くのが普通だった。僕も、校則や体罰などの学校問題をきっかけに、いわゆる人権派的な活動をするようになったんだよね。どこかの団体に所属するというよりは、個人で。

 最初の頃は、オーソドックスな市民派左翼っぽい事をやってたんだけど、運動をやっていく中で疑問が出てきて、自分の問題意識に忠実に続けてきたら、いつの間にか右とか左だとか分からないようなところに来ちゃった。特に90年代半ば以降の活動はなかなか説明しにくくて、それをサイトや選挙ポスターなどの長い文章で言おうとしていた。


── 今は右でも左でもないそうですが、どのような立場なのでしょうか。

外山 あちこちで公言してるけれど、今の僕の立場はファシスト。ファシストというといろいろと誤解されることを分かって、わざと言っているようなところもあるけれど、今自分が考えていることを言葉で表すとファシストが一番しっくりくる。


── ファシズムは、何かすごく悪だというイメージがあります。

外山 ファシズムというのは誤解されているところが大きくて、第二次大戦でファシズム陣営が負けたから、一方的におとしめられてるだけ。もしファシズムが本当にろくでもない思想だとしたら、あんなに盛り上るはずがないわけで、なんか魅力があるんじゃないかと思って、先入観を捨てて調べてみると、非常に魅力的だった。


── 具体的に、外山さんの言うファシズムとはどういうものでしょうか。

外山 僕はドイツではなく、イタリアのムッソリーニのファシズムを一番高く評価してて、これはかなりアナキズム(無政府主義)に近い。アナキストというのは、国家や組織や党とかを嫌うんだけれども、アナキストがこれはもう党を作るしかないと開き直るときに、ファシズムになるというイメージです。


── 元々左翼でやってきて、ファシズムに転向したきっかけってあったんですか?

外山 左翼運動の世界でいろいろ僕が疑問に思うことを口に出したり、行動に示したりしているうちに、どんどん左翼の人たちに嫌われていって。政見放送でも言った2年間獄中にいたというのは、左翼との敵対が背景にあって、外山を運動界隈から消すために、左翼が警察を利用した事件だった。

 それまでは敵対しながらも自分は左翼圏内だと思ってたんだけれど、どうやら違うんじゃないかと。いつの間にか自分は左翼じゃなくなっているのかも知れないと獄中で考えていたときに、ムッソリーニの伝記を読んだ。ムッソリーニ自身が、左翼運動から出発して、次第に左翼の間で浮いて、左翼とも右翼とも違う独自路線としてのファシズムを思いつくという、その過程を読んで共感して。これまで誤解していたけれども、ファシズムってこういう事だったと納得できた。

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