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【IDF 2008 上海レポート Vol.2】

真打ち「Nehalem」ついに登場! IDF基調講演より

2008年04月03日 17時00分更新

文● 山本雅史

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実動するNehalemサーバーとデスクトップをデモ


 ゲルシンガー氏による講演では、Nehalem搭載ワークステーションとサーバーの実動試作機が公開された。ワークステーションでは、2個のNehalemを搭載するマシンを2台使い(4コア×2マルチスレッド×2 CPU×2台=32コア)、自動車の空力シミュレーションをリアルタイム処理するデモが披露された。

クアッドコアNehalemを2基搭載したワークステーションによるデモ。このワークステーションを2台使って、膨大な演算能力が必要な自動車の空力シミュレーションを、リアルタイムで行なってみせた

 従来であれば、こうしたシミュレーションは非常にCPUパワーを必要とするため、メインフレームや多数のCPUを利用したサーバーが使われていたものだ。

 しかしNehalemの登場により、ワークステーションレベルでも、これらの作業がリアルタイムで行なえるようになった。これは、高精度な科学技術計算シミュレーションを多用するユーザーには、特にコスト面で大きなメリットとなるだろう。また一般ユーザーにとっても、例えば複雑な物理シミュレーションを使った、よりリアルな挙動のゲームをリアルタイムで実行可能になるといったメリットが考えられる。

非常にリアルな映像のFPS「FarCry2」

非常にリアルな映像のFPSゲーム「FarCry2」。高度なAIや物理モデルの実現には、マルチコアのパワーが必要となる

レイトレーシング技法を「Quake」シリーズに応用した画面

写実的な光の表現を可能にするレイトレーシング技法を、FPSゲーム「Quake」シリーズに応用した画面。レイトレーシングをリアルタイムゲームで扱うには、非常に強力なCPUパワーが必要だったが、現実的になってきた

 また、Nehalemをブレード型筐体に搭載したサーバーのデモでは、2台のラックで128個のNehalem CPUを持つ、ハイパフォーマンスサーバーが披露された。


Nehalemを超えて


 ゲルシンガー氏はNehalem以降のCPUについても、簡単に説明を行なった。「インテルでは“チクタク”戦略に基づき、2009年にはNehalemを32nmプロセスで製造する「Westmere」(ウエストメア)を、その先には新しいアーキテクチャーを採用する「Sandy Bridge」(サンディブリッジ)を用意している。Sandy BridgeではSSEを機能拡張して、256bitのベクトル演算機能を内蔵する。インテルではこの新しい命令セットを、Advanced Vector Extension(AVX)と呼んでいる」。

今後のCPUスケジュールとコード名

インテルの今後のCPUスケジュールとコード名。2年毎に製造プロセスの微細化とCPUアーキテクチャーの刷新を行なう

Sandy Bridgeの主な特徴

32nmプロセス世代で新アーキテクチャーを導入するCPU「Sandy Bridge」の主な特徴

 また、ビジュアルコンピューティング向けのプロセッサーとして、IAコアを数十個搭載する「Larrabee」というプロセッサーも用意されている。Larrabeeはある意味、米AMD社(旧ATI Technologies)や米Nvidia社が提供している、汎用性の高まった最新GPUに近いものだ。

ビジュアルコンピューティングの実現に必要なもの

ビジュアルコンピューティングの実現には、強力なマルチスレッド能力を持つCPU、高速なメモリーとI/O、新しいGPU、インテル アーキテクチャーベースの開発ツールが必要になる

Larrabeeのアーキテクチャー

Larrabeeのアーキテクチャー。大量のIAコアを統合し、ベクトル演算命令も強化される

 ただし、Larrabeeは独自のプログラミングモデルを持つのではなく、IAコアという点が重要だ。IAコアには多くのプログラマーが慣れ親しんでいる。パフォーマンスはあるが、開発者の数や習熟度合いが十分ではなく、汎用用途にはなかなか活用されないGPUに相当する機能を、より一般的に使えるようにするコンセプトだ。Larrabeeでは開発が容易になるように、多くのツール類がリリースされる。OpenGLやDirectXでの開発行なえるようだ。

 これら以外にも、先日発表された6コア版のXeonプロセッサー「Dunnington」や、メモリーコントローラーをCPU側に搭載した、クアッドコア版Itanium「Tukwila」などについても紹介された。

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