実動するNehalemサーバーとデスクトップをデモ
ゲルシンガー氏による講演では、Nehalem搭載ワークステーションとサーバーの実動試作機が公開された。ワークステーションでは、2個のNehalemを搭載するマシンを2台使い(4コア×2マルチスレッド×2 CPU×2台=32コア)、自動車の空力シミュレーションをリアルタイム処理するデモが披露された。
従来であれば、こうしたシミュレーションは非常にCPUパワーを必要とするため、メインフレームや多数のCPUを利用したサーバーが使われていたものだ。
しかしNehalemの登場により、ワークステーションレベルでも、これらの作業がリアルタイムで行なえるようになった。これは、高精度な科学技術計算シミュレーションを多用するユーザーには、特にコスト面で大きなメリットとなるだろう。また一般ユーザーにとっても、例えば複雑な物理シミュレーションを使った、よりリアルな挙動のゲームをリアルタイムで実行可能になるといったメリットが考えられる。
また、Nehalemをブレード型筐体に搭載したサーバーのデモでは、2台のラックで128個のNehalem CPUを持つ、ハイパフォーマンスサーバーが披露された。
Nehalemを超えて
ゲルシンガー氏はNehalem以降のCPUについても、簡単に説明を行なった。「インテルでは“チクタク”戦略に基づき、2009年にはNehalemを32nmプロセスで製造する「Westmere」(ウエストメア)を、その先には新しいアーキテクチャーを採用する「Sandy Bridge」(サンディブリッジ)を用意している。Sandy BridgeではSSEを機能拡張して、256bitのベクトル演算機能を内蔵する。インテルではこの新しい命令セットを、Advanced Vector Extension(AVX)と呼んでいる」。
また、ビジュアルコンピューティング向けのプロセッサーとして、IAコアを数十個搭載する「Larrabee」というプロセッサーも用意されている。Larrabeeはある意味、米AMD社(旧ATI Technologies)や米Nvidia社が提供している、汎用性の高まった最新GPUに近いものだ。
ただし、Larrabeeは独自のプログラミングモデルを持つのではなく、IAコアという点が重要だ。IAコアには多くのプログラマーが慣れ親しんでいる。パフォーマンスはあるが、開発者の数や習熟度合いが十分ではなく、汎用用途にはなかなか活用されないGPUに相当する機能を、より一般的に使えるようにするコンセプトだ。Larrabeeでは開発が容易になるように、多くのツール類がリリースされる。OpenGLやDirectXでの開発行なえるようだ。
これら以外にも、先日発表された6コア版のXeonプロセッサー「Dunnington」や、メモリーコントローラーをCPU側に搭載した、クアッドコア版Itanium「Tukwila」などについても紹介された。
