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業界研究レポート 第2回

家電量販店業界

家電量販店大戦争! なぜそんなにM&A?

2008年03月27日 12時00分更新

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ヤマダ電機の独走は続くのか?  家電量販店業界の“40%ルール”という裏事情

 家電量販店の最大のセールスポイントは「商品の安さ」だ。各社とも家電メーカーから一度に大量に仕入れるスケールメリットによって、薄利多売を実現している。このスケールメリットを最大限に享受できる制度が「共同仕入れ」だ。他社との共同仕入れが可能になれば、より多くの商品を一度に仕入れることができ、結果さらなる安値販売=顧客獲得につなげられる。ちなみに、ケーズホールディングス・ベスト電器・上新電機の3社が現在、一部のパソコンを共同仕入れしている。

 ところが、各社が共同仕入れを実施するには、大きな壁を越えなければならない。家電量販店業界には、「40%ルール(40%以上の出資関係がないと家電メーカーから共同仕入れを認めてもらえない)」という商慣行(商取引における慣習)があるのだ。もし、売上高1000億円以上の業界上位9社の中で共同仕入れが実施されれば、家電量販店業界の勢力図は大きく塗り替えられることになる。また、断トツの売上高を誇るヤマダ電機が2位以下と共同仕入れを行なえば、他社が太刀打ちすることは叶わなくなるだろう。だからこそベスト電器の株式を巡って、ヤマダ電機 VS. エディオン・ビックカメラという図式が成立したと考えられる。

 ただし、いくらスケールメリットを追求するためとはいえ、出資関係が40%以上ともなれば「同業他社に吸収される」感は否めない。生き残るためには、他社による保有株式を10%程度に抑えて敵対的買収に備えつつ、地方の同業他社を買収したり出店攻勢をかけて規模を拡大していくことが求められる。駅前における各社の出店攻勢と激しい競合も、その一環と見ることができよう。

業界研究レポート

駅前・駅周辺の主な激戦地域

 景気が減速して消費者の買い控えが懸念される中、家電量販店各社の競合の果てに残るのは何か。分かっているのは、今後もM&Aが繰り広げられ、いつ勢力図が大きく塗り替えられても不思議ではないということだ。現在、家電量販店業界で生き残るための条件は、売上高5000億円以上と言われている。この動乱は地方まで広く普及していくことだろう。

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