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業界研究レポート 第2回

家電量販店業界

家電量販店大戦争! なぜそんなにM&A?

2008年03月27日 12時00分更新

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業界1位ヤマダ電機のヒストリー

 現在、家電量販店業界1位のヤマダ電機は、売上高1兆4436億円(2007年3月期売上高)と、2位エディオンの2倍の規模を誇る。群馬県を基盤にチェーン店を展開し、1980年代に北関東を舞台にコジマ(栃木県が基盤)やケーズデンキ(現ケーズホールディングス、茨城県が基盤)と、「他店より安い価格表示」「同業他社の近隣に出店」など激しい“YKK(ヤマダ・コジマ・ケーズデンキ)戦争”を繰り広げながら規模を拡大してきた。1990年代後半にはコジマに水をあけられたが、郊外型の大型店舗を着々と出店。2000年以降は、全国各地の量販店に対して提携や買収を進め、2002年に業界1位の座をコジマから奪取した。

 ヤマダ電機は2005年、日本で初めての売上高1兆円を達成し、全都道府県へと進出する。次いで、駅前に都市型の大型店舗の出店を開始した。2006年3月、大阪の難波駅近くに「LABI1なんば」を出店したのを皮切りに、仙台、池袋、大井町、新橋、秋葉原の各駅近くに出店する。また、ほぼ同時期に各地の同業他社の積極的なM&Aも開始。昨年6月には、ぷれっそホールディングス(マツヤデンキ、サトームセン、星電社の3社による構成)を完全子会社化し、12月にサトームセン全店舗をヤマダ電機テックランドとした。

業界研究レポート

主な家電量販店の売上高推移グラフ

駅前が修羅場!  ビック、ヨドバシへヤマダ電機の攻撃

 ヤマダ電機とエディオンに次ぐ業界3位のヨドバシカメラは、新宿、上野、横浜といったターミナル駅前に小規模な店舗を展開。カメラだけでなく家電やAV機器など多数の商品をフロアに陳列する販売スタイルと、替え歌を用いたコマーシャルで知名度を上げて成長した。1990年代になると、マルチメディア館と呼ばれる大型店舗を相次いで出店。2001年以降も、マルチメディア梅田を皮切りに、マルチメディアAkiba、マルチメディア横浜、マルチメディア博多などの大型店舗をターミナル駅前に展開して拡大を続けている。

 また業界5位のビックカメラは、もともとカメラ専門の量販店として高崎駅東口と池袋駅北口に創業。「3割、4割引は当たり前」のコマーシャルで知名度を上げて急成長し、その後はビックパソコン館(1994年)など、パソコンの需要拡大に呼応した出店攻勢で規模を拡大した。2001年に旧そごうをビックカメラ有楽町店、翌年に新宿小田急百貨店ハルク別館をビックカメラ新宿西口店と、大型店舗として出店。また、2006年2月にはソフマップを連結子会社化したほか、2007年にエディオン、ベスト電器と資本・業務提携して拡大路線を推進している。

 このように各社が拡大を続ける中、2006年からヤマダ電機が駅前へ出店攻勢をかけ始めたことで(2010年には新宿駅付近に出店予定)、家電量販店業界の勢力争いは苛烈を極める状況に至った。ここ数年のM&A合戦の結果、売上高1000億円以上の家電量販店は9社に減少。だが、この勢いは未だ止まる気配を見せてはいない。その理由は何か。

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