サムスンと共同開発した撮像素子
── K20Dは、サムスングループと共同開発したイメージャー(撮像素子)を採用されていますね。
堀田 はい。正確に言うとサムスンテックウィン、サムスン電子、ペンタックスの3社で共同開発しました。
── これまでは汎用品を調達するやり方だったと思います。実際に開発から関わることでどんな違いが出ましたか?
堀田 試作してそれを評価し、フィードバックして再度試作する……という工程を踏まなければなりません。その作業に時間がかかりましたね。いろいろ苦労もあったのですが、製品という形で結果を出せたので、成功だったと感じています。
特にK20Dに関しては、画質の追求がメインで、このセンサーありきという部分がありました。撮像素子の開発には本当に大きなパワーを使いましたし、強い思い入れがありますね。
── 堀田さんには、K10Dの発売直後にも取材させていただきました(関連記事1、関連記事2)。その時点ですでに開発が始まっていたということなんでしょうか?
堀田 ……はい(笑)
畳家 基本仕様の策定という部分で言えばそうです。
── その時点で「次世代機は1400万画素クラスにしよう」とか「ISO 3200を常用できるようにしよう」といった仕様が固まっていたわけですか。
畳家 カメラにしたときの仕様として、そのぐらいまでのポテンシャルが出せるような撮像素子が必要だと考え、要求を出しました。
── 画素数が有効1020万画素から1460万画素に増えたわけですが、K20DのS/N比(ノイズの少なさ)はどうですか?
堀田 K10Dよりも上がっています。画素数が増えても、S/N比などの基本性能が下がってしまっては本末転倒です。CMOSイメージセンサーでは画素の周辺に回路が付くのですが、プロセスルールを最新のものに変更することでその面積を小さくし、フォトダイオードの開口率を高めました。これにより画素あたりの集光効率も向上しています。結果として、S/N比も上がりました。
── その点は絵にも反映されていますね。ライブなんかで、ピンスポットの照明が当たっている状況でも、背後の暗い部分をうまく拾っていました。