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「メディアとしての力」を持たせたい

津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(後編)

2008年03月27日 09時00分更新

文● 津田大介(ジャーナリスト)

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夏前には新バージョンを出したい


── はてなブックマークって完成系に近い部分もあったかと思うんですが、伊藤さん的にはいろいろ手を入れたい部分が多いんですね。

伊藤 システムの話でいうと、今のはてなブックマークはもう3年前くらいに作ったんで、当時の開発手法が古かったという問題があるんですよ。結構時間が経って、パッチにパッチを当て続けてボロボロになってる。

 そうなると新しい機能を入れたいとか、システムを大幅に変更したいと思ったときに手間がかかり過ぎちゃって「やってられない」って状態だったんです。ずっと前からイチから作り直したいと思っていたら、京都に移転することが決まった。これは良いタイミングだろうということで、ちょうど今、作り直しているところなんです。

 作り直す過程でさっき言ったようなカテゴリー分けをちゃんと機能させたり、ブログオーナーにもうちょっとコントロールできる権限を持たせたりといった感じで、少しずつ変えていきたいなと思ってます。


── その「Brand-new はてなブックマーク」が登場するのはいつぐらいになりそうですか?

伊藤 夏のちょっと前くらいに出せたらいいなとは思ってます。最初は現状の機能を復元するのがメインなので、あまりリニューアルしたという印象は受けないと思うんですけど、全体的なパフォーマンスは向上しているはずです。

 あとはそこから開発速度が上がると思うので、今僕が思っている「こういう風にしたい」ということを矢継ぎ早でどんどん足していければと思ってます。



はてブを「民主的なメディア」に


── 今後のソーシャルブックマークサービスのトレンドや、こうなってほしいみたいなものがあれば教えてください。

伊藤 僕が思っているのは、はてなブックマークに「メディアとしての力」をもっと持たせたいということなんですよ。というのも、僕自身、はてなブックマークを作って一番享受した利益って「今までマスメディアが言ってる情報をそのまま受け取っていたんだけど、実は違うんだな」とか、そういうシンプルなところだったりします(笑)。

 物事って大体において矛盾をはらんでて、犯罪にしろ社会的な問題にしろ、両方の言い分を聞いてみない限り本当のことは分からない。そこは、はてなブックマークを作って本質的に理解できた感じがしますね。

 今の世の中は二元化していて、芸能人がブログでちょっと口を滑らすと炎上することもありますが、「別に人間なんだから矛盾してるんだよ。ロジックに一貫性がないのは普通なんだから」という感覚が自分の中には強くあるんです。本来はいろいろな情報があちこちから引っ張り出せることによって形成されるべきなのに、今はネットにしても、既存のマスメディアにしても、情報が一方的で答えがひとつしかない印象を受けます。

 だからそういう意味で、インターネット上に新しい「民主的なメディア」みたいな形でソーシャルブックマークサービスが位置付けられるようになってほしい。ソーシャルブックマークをチェックすれば多様な意見に触れられる。そういう環境を用意しておくべきだなと思ってます。

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