「長い目で見てもらいたい」
── はてな取締役の梅田望夫さんが昨年の6月14日の日記で「今週は、はてなの取締役会合宿がシリコンバレーで行われている。ネットイナゴ問題についても当然、真剣に議論しています」と書かれてネットで話題になりました。あのときはどのような話をされたんですか。
伊藤 あの当時……、いやもうちょっと前くらいから内部で「やっぱりはてなブックマークのコメント欄をどうにかしないといけないね」みたいな話は出ていました。ちょうどそのタイミングで米国に出張したので、取締役会で話をしたということです。
その後、「あからさまにこれはまずいだろう」という発言は、ブックマークのエントリーページにある「利用規約違反の通知」機能から、サポートの人に直接通知が飛ぶようになりました。例えば個人の実名を挙げるような規約違反ならすぐに分かりますし。
── 実名晒しのトラブルは、ちょっと前にも起きましたよね。個人的にはなぜ定期的にこういう問題が起きるのかなという疑問もあるんですけど。
伊藤 起きますね……。それでも、結局コメント欄の話は自浄作用なんかも含めて「時間が解決する」という話になっちゃうと思うんですよ。「はてなスター」が付いて状況が改善されたみたいな話も、そもそもはてなスターというサービスをうちの会社が開発しなければスターを置くってことはできなかったわけじゃないですか。そういうのは最初から思いついて設計できるわけじゃないんです。
運営側にとっても、時間が経つにつれて解決策が少しずつ見えてくる部分もあるし、コミュニティーの自浄作用が問題を解消することだって起こる。だから、長い目で見てもらいたいとも思うし、ちょっと我慢してみるという選択も必要なのかなとは思っています。
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筆者紹介──津田大介
インターネットやビジネス誌を中心に、幅広いジャンルの記事を執筆するジャーナリスト。音楽配信、ファイル交換ソフト、 CCCDなどのデジタル著作権問題などに造詣が深い。「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」や「インターネット先進ユーザーの会」(MIAU)といった団体の発起人としても知られる。近著に、小寺信良氏との共著 で「CONTENT'S FUTURE」。自身のウェブサイトは「音楽配信メモ」。