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児童ポルノ法改正、何が問題か

2008年03月19日 17時22分更新

文● 高橋暁子

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準児童ポルノの定義とは


 また、漫画やアニメなどの二次元、18歳以上の大人が児童を性的に演じた「準児童ポルノ」の禁止に関しては、表現の自由を侵害する恐れがある。加えて、こちらもどこからどこまでが違法に当たるのかが不明確だ。

 日本ユニセフ協会の「子供ポルノ日本の現状」というスライドショーでは、イメージ映像として秋葉原の画像が使われている。日本のアニメ、特に「萌え文化」は目を付けられており、この改正で規制が強まり、アニメ文化に大きな影響を与える可能性がある。

 これらの動きは、「性的虐待を目にすると、人は性的虐待をするようになる」という考えがベースになっているのだろうが、実際にはそうなのだろうか? そもそもそういうものを好まない人間は、見ても不快なだけだ。見ようと見まいとそういう嗜好の者はいるし、二次元児童ポルノをはけ口にして犯罪に走らずに済んでいるという意見もある。



児童を守りつつ短絡的ではない結論を


 児童ポルノは悪だ。それはほぼすべての人が同意するだろう。

 だからこそ、内閣府の「有害情報に関する特別世論調査」で、「実在しない子どもに対する性行為などを描いた漫画・イラストも規制の対象とすべき」という回答が9割に達したと考えられる。この「反対しづらいテーマである」ことが問題をさらにややこしくしているように思う。

 ネットでは改正に反対する意見が多く見られるが、一部では悪いものは悪いとする賛成意見もある。例えば、主要先進8ヵ国(G8)の中では、児童ポルノの所持を禁じていないのは日本とロシアだけであり、現行法では、違反者への罰則は最高で懲役3~5年と軽いことなどを問題視している意見も見られる。

 「児童の性的被害につながる可能性があることは全て禁止すべき」とヒステリックになっている改正賛成派と、準児童ポルノの基準が曖昧だとか、表現の自由に規制が及ぶことを嫌う反対派、それぞれまったく違う次元で話をしている。これではいつまで経っても解決には至らない。

 児童は性的虐待からは守る必要があるが、ただ短絡的な規制をしても児童の安全にはつながらないし、この問題を素通りして表現の自由を主張するだけでもおかしいだろう。ぜひ、これをこの問題を考える機会としてもらいたいと思う。

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