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日本最深部を23.3km踏破!

地獄の「青函トンネル探検ツアー」体験記

2008年03月19日 23時00分更新

文● 伊藤 真広

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本州と北海道がここで繋がった!

 行軍開始から2時間30分、第二の見所の変電設備に到達、ここで15分ほどの休憩をとり、さらに30分ほど進んだ11時半には先進導抗の貫通地点に到着した。この地点は、初めて本州と北海道が陸路でつながった記念すべき場所ということで、今回の探検ツアー最大の見所。多くの人が感慨深げに記念プレートを撮影していた。

変電施設

休息地点となった変電施設。この変電設備以外にも単発の変電設備は各所に設置されているようだ

本州と北海道の空気が初めて混ざったこの場所。本坑の貫通式では当時の首相だった中曽根氏などが臨席して起爆スイッチを押した

今度は日本最深部の海抜マイナス256.6m地点!

 さらに40分ほど進むと国土交通省国土地理院の定めた日本で最も低い標高、マイナス256.6mの水準点に到着。青函トンネルは津軽海峡の中でも最も浅い部分を縫って掘られており、海底のいちばん深い場所で水深170m。この水準点の打たれている地点の海底は水深150mくらいとのことなので、我々は海底からさらに100m以上も深い場所にいるということになる。水準点で小休止をはさみ、今度は北海道側の先進導抗を進むのだが、北海道側の先進導抗は、ここまで歩いてきた道と違い、かなりの険しい道となっていた。

日本でもっとも低い場所に設置された水準点なのだが、下り坂はまだまだ続いており、先進導坑の終点はもっと深い場所になっているそうだ

やっと半分、いよいよ北海道へ!

 青森側の先進導抗は、補修車両などが通る関係で車両なども通れるように日々整備がされているのだが、北海道側は通常人が足を踏み入れることは少ないとのこと。そのため、照明の数もぐっと少なくなっているうえに、水溜りや堆積した泥などで足元の状況は非常に悪くなっていた。しかし、もはや引き返すこともかなわない我々は前へ前へと突き進んでいくしかない。北海道側先進導抗を進むこと1時間半、吉岡斜抗のすぐ手前に位置する、排水ポンプ施設と水門に到着した。
 排水ポンプ施設では、毎分20トン以上の湧き水の排水処理を行なっている。そして排水ポンプ手前に設置されている水門は、ポンプが何らかの事情で停止してしまった場合に、本坑が水没しないように、先進導抗に湧き水を貯水する役目を負う重要な設備なのだ。

北海道側の先進導坑内は、映画「インディ・ジョーンズ」や「バイオハザード」シリーズに登場しそうなおどろおどろしいトンネルとなっていた

これまでの20年の歴史でこの水門が稼動したことはないのだが、設計上は170トンくらいの圧力までは耐えるとのことだ

排水ポンプと浄化槽。排水ポンプは開業当時6台あったが現在は5台のポンプが交互に運転している

ケーブルカーに救われた最後の難関! と思いきやあの一言が……

 水門、排水ポンプと通り過ぎ、さらに5分ほど進んだ14時15分過ぎ吉岡斜抗の最下点に到着。まず、第一段階の23.3kmを歩ききることに成功。さらにここから、2102段(1.2km)の長い階段を登るのだが、この時点でひざはがくがく、脹脛はパンパン・・・無事に歩いて地上で再び太陽の暖かい光を浴びれるか心配に……。JRの職員からは「もう無理、どうしても階段が上がれそうにないという人は、ケーブルカーで上がってください」と言っているのだが、70歳以上の参加者に「100段ずつ上がって休憩を取れば楽勝ですね」と声をかけられてしまい、ケーブルカーに後ろ髪を引かれつつ、魔の階段に足を踏み入れた。
 階段を上がること1時間弱。無事吉岡斜抗出口に到着し、無事探検ツアーを完走した。その後、東京に戻った後、腰痛治療に通っている整骨院でひざを診てもらったところ、捻挫状態で全治2週間と診断されたのであった。

2102段の階段

最後の難所は吉岡斜抗から地上に続く2102段の階段。最下層から見上げても地上の光は目に入ってこない

ケーブルカー

リタイアした人は、このケーブルカーに乗り地上へ運んでもらえるのだが、利用者はほとんどいなかったようだ

吉岡海底駅への分岐点

吉岡海底駅への分岐点。この時点で1/3の500m。残り700と思った瞬間……筆者の脹脛がパンク。足を攣ってしまい階段に腰を下ろして5分間ほど休憩

ゴール地点

なんとかたどり着いたゴール!! 「ゴ~~ル」とテンション高く叫びたいが、そんな達成感よりも疲労感のほうが勝る。ホント疲れた……

これは一般参加者に配布された20周年記念のヘルメット。日常では絶対に味わえない素敵な体験をありがとう!

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