皆さんはせっかくエンジニアの仕事をしているわけですから、仕事を効率化する方法を、自身のプログラム開発やコンピュータ上のアプリケーションに当てはめて“自分だけのライフハック術”を編み出していくべきでしょう。今回は著者が実践しているライフハックを紹介しますが、これらの手法はなにもロボットのように働けということではありません。人間らしく、自分に合った方法を模索した上での“効率化”です。こうすることによって、時間や気持ちに余裕を持ち、達成感のある仕事ができるというわけです。
何はなくともToDoリスト~WBSでブレイクダウン!~
ToDoリストをすでに活用している人は多いかもしれませんが、仕事を効率よく、細かいところにまで配慮がなされた仕事ぶりを見せるには、やはりこのToDoリストの作成が欠かせません。これは、逐次型、スクリプト言語で書かれ順次実行されていくプログラムの集合だと考えてみて下さい。書き始めた時点で順序が決定している必要も、プログラムの中身がすべて埋まっている必要もありません。
ToDoリストを作成するときは、開発プロジェクト管理に用いる WBS(Work Breakdown Structure)の手法を模倣してみましょう。各作業を細かく分けていき、一日単位、数時間単位で完了可能な仕事の「粒」にブレイクダウンしていくのです。こうすれば、仕事が大きすぎて何から手をつけていいのか分からないような複雑な仕事を短時間でこなせるシンプルな事柄に分けていくことができます。また、ウェブ上のToDoリストサービスやツール、文房具をうまく活用しましょう。特に著者がお勧めするのはシンプルで十分な機能をもつ「TaDaList(下記参照)」です。使い方に悩むこともなく、手軽に無料で使えます。
・TaDaList
・checkpad
・Remember the Milk
仕事に押し流されそうになったら~スタックに積み上げる~
次々にやってくる仕事に押し流されそうになったときは、細かい分析や判断は後に回して、とりあえず本を机の上に積み上げるように原始的に「仕事スタック」として積み上げておきましょう。仕事が積み上がっている事自身は心理的に重荷になりますが、積み上げた上から、もしくは下から順に仕事を片付けていきます。スタックに積み上がった仕事のうち、短時間でこなせるものに関しては、次々に処理してくことで気持ちの面ですぐにスッキリすることができます。
またこの仕事スタックをうまく運用するコツは、考えておかなくてはなりません。何でもかんでもスタックに積み上げるのではなく、ほんの数分で完了してしまう事柄であれば、ToDoリストにも書かず、スタックにも積み上げず、その場ですぐに実行して完了してしまうことです。具体的には、単純なメールの返事、事務書類の提出、買い物などです。著者も事務処理のたぐいはとても不得意な分野ですが、いつまでも「やらなきゃ、いつかやらなきゃ」と意味のない心配事を増やすよりも、数分間集中して作業すれば、終わってしまう作業であれば、イヤイヤながらも着手する方が結果的にスッキリします。
“人に任せる”というマルチコア化、メモリ容量の増量
人間がコンピュータのように手軽にCPUの載せ替えやメモリの増量が可能なら、どんなに便利かと思うことは多々あります。複数の仕事をスムーズにこなしていく人もいますが、基本的に人は一度にひとつの仕事しかできず、仕事が切り替わるごとにタスクスイッチが切り替わり、そこには無駄な負荷(オーバーヘッド)が生じます。
ここで言うところのマルチコア化とは、自分一人で仕事をこなそうと無理をするのではなく、仕事を切り出して、任せられる同僚や部下を頼りにしましょうということです。何でもかんでも仕事を一人で抱えてしまうタイプの人は、実は人にお願いする手法に乏しいのです。
常日頃、自分の仕事から切り出せる仕事を(プログラムで言うところの)関数化・ライブラリ化しておくといいでしょう。必要な材料や情報、素材などを外部関数に任せられるようにしておくのです。その準備万端の「関数」は時間があれば自分で作業してもいいですし、時間がない時は、誰かに代わってもらってもいいのです。自分の頭のメモリ容量は増量できませんが、外部記憶に任せることによって、増量以上の効果が得られます。大切な情報や有用な情報は自分の頭の中だけではなく、同僚や上司、先輩・後輩、友人知人など多くの人に伝えておくことによって、いざという時により確実で広域な情報として自分に戻ってくることでしょう。
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