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「未踏ソフトウェア」海外進出支援事業(その3)

ベンチャーを肌で感じ取れ──未踏メンバーがシリコンバレー企業を6社訪問

2008年03月16日 21時38分更新

文● 林信行(ITジャーナリスト)

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ユーザーの心を動かす企業を訪問した古川チーム


 一方、古川氏が率いるチームは、ステージの異なる3企業訪れている。いずれも熱狂的ファンを持つ、シリコンバレーで注目されている企業だ。

 最初の訪問先はEye-Fiだった(関連記事)。1つのSDメモリーカードに、2GBのメモリーと無線LAN通信機能を盛り込んだ「Eye-Fiカード」を発売し、米国で大きな話題を呼んだ。

Eye-Fi

Eye-Fi

 2つ目はアップルだ。ガレージで起業したシリコンバレーを代表するベンチャーが、今、どれほどまで大きくなったかを体感すべく本社ビルを訪問し、何人かの社員達と会話を楽しんだ。シリコンバレーでは、最近、Macの利用者が急速に伸びており、それだけに同社を歩く社員達からも勢いや活気が伝わってきた。

アップル

アップル

 3つ目の訪問先は、世界で一番最初にデータ定額制の料金プランを実践したDanger。キャリアから料金を徴収するモデルや人々を熱狂させるデザイン指向のスマートフォンを、iPhoneよりも先に生み出した企業で、米国の若者達の間で人気を集めている。また、今年に入って米マイクロソフトによる買収が発表されて、大きく話題となった。

Danger

Danger

 Dangerは、まだ社員が数十人の弱小ベンチャーの頃に、キャリアに前例のない料金プランを飲ませ、大手メーカーのシャープに携帯端末製造を依頼した。参加者らは興味津々に、その交渉術や投資を得るまでの苦労、そしてベンチャーを軌道に乗せるまでの大変さに熱心に耳を傾けた。



成功体験を共有しようとするシリコンバレー


パーティー

企業訪問のあとは、日本を代表する研究者の1人で、今は米大手メーカーに勤務するソフトエンジニアの自宅でパーティーを開いた

 シリコンバレーには、魅力的なベンチャーがあふれている。しかも、そうしたベンチャー企業の経営者の多くが非常にオープンで、成功体験を共有しようという姿勢だ。ツアー参加者にとって3日目は、これまで2日間の講義で学んできたシリコンバレーのカルチャーを肌で実感した1日となった。

 LoiLo社の取締役COO、杉山竜太郎氏は、Dangerの携帯端末、Sidekickの魅力に取り付かれ、携帯関係のビジネスにも興味がわいたようだ。(株)情報基盤開発のCEO、鎌田長明氏は、朝のFry's electronicsを探しまくり、日本で買おうとして入手できずにいた手書き入力デバイス(ペンで紙に書いた情報が自動的に転送される)を購入。その魅力を熱心に他の参加者に説いていた。

 既に携帯電話向けのソフトを開発している(株)ネイキッドテクノロジーの平野未来代表取締役は、廊下を歩く時間を惜しんで、熱心に自らの製品の説明を行なっていた。富田慎一氏は別グループがアップルに行ったことをうらやましがりながらも、念願のCogHead訪問を果たして満足したようだった。(株)CURIOの大沢昇平氏は、「どうしてもオラクルを見たい」と言って自らの足で同社に訪れて、満足げだった。


 ツアー終盤となる明日は、参加者を代表して4名が、グーグル本社にて自社技術のプレゼンテーションを行なう(4日目の記事はこちら)。


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