古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第20回

「アホなだけでは誰も見てくれない」──ココロ社の中の感性と理性

動画で妄想を発信できる環境が整った

──　その後、テキストサイトのテイストを色濃く残しつつ、YouTubeで動画をアップするなど、コンテンツの枠を広げていきますよね。

ココロ社　はてなダイアリーに移行したあとも、個人的な理由でやる気がアップダウンしていたんですが、2006年の秋に「本当にちゃんとやるぞ」と、アクセス数を稼ぐことを心に決めました。

　その頃、たまたまYouTubeの動画をブログなどに埋め込める機能ができたんです。YouTubeのリンクを貼ることしかできなかったのが、そのブログでワンクリックするだけで動画再生できるようになったと。これで個人が動画で妄想を発信できる環境が整ったと思い、オリジナル動画を始めました。

──　第一弾は2006年11月の「youtubeドラマ『輝け 寿司たち！』」ですね。

ココロ社　そうですね。マイルストーンという意味合いもあって、YouTube系では一番気に入っています。テーマソングをイチから作って、お寿司をカピカピにしながら、何度も変えたりして作りましたから、思い出深いです(笑)。

YouTubeドラマ「輝け 寿司たち！」。ココロ社氏作のテーマソングのあと、回転寿司店で売れ残った寿司たちのラブコメが展開される

　その後にヒットした「Wiiが欲しくて〜」は、個人的にはベタベタ過ぎてちょっと微妙です。でも、「僕はアクセス数を稼ぐと決めたんだ」って自分に言い聞かせて、恥を忍んで朝の5時から屋上で暴れたり泣いたりしたわけですけど。

Wiiが欲しくて気が狂ってしまった男の映像。海外ユーザーの注目を集め、コメント欄に英訳を書き込む人まで現れた。「可哀想だから、Wiiを送ってやる」という視聴者が相次いだが、実際には届いていないらしい

──　(笑)。今後もオリジナル動画は続けていきますか？

ココロ社　ちょっと本腰を入れようかなと思っています。今は著作権問題がクローズアップされているので、YouTubeやニコニコ動画もそろそろ対応してくる。すると、オリジナル動画にスポットが当たるのかなと踏んでいます。

──　ちなみに、今後もニコニコ動画よりもYouTubeを選びますか？

ココロ社　ニコニコ動画はまだマニア向けという印象もあって動向が読めないので、広く見てもらうためにやはりYouTubeを選びますね。