リモコンで操作できる快適性
付属ソフトには、オンキヨーが独自開発した再生専用ソフト「PureSpace」、楽曲管理ソフトの「CarryOn Music 10」、各種設定を行なう「アンプ・コントローラー」のほか、サイバーリンクの「Power DVD 7」などが用意されている。
これらをすべて付属の赤外線リモコンから操作できる点も、本機の特徴と言えるだろう。実際に使用してみると、有効角度がすこし狭いように感じたが、離れた場所からリモコンだけで操作できるため、すこぶる使い勝手がいい。リモコンで音量操作を行なうと、筐体正面に付いたボリュームのつまみが連動して動く。オーディオ機器では当たり前だが、パソコンでは新鮮に感じられる部分だ。
APX-2での音楽再生は、すべてWindowsを起動した状態で行なうようになっている。OSを起動せず、BIOS上で音楽を再生させる仕組みにしなかったのは、楽曲のダウンロードや曲名の取得など、ネットワークへの対応ができずに、中途半端な機能になってしまうことを避けたかかったためだろうと想像する。
操作性のキモとなるのは付属ソフト。これらの使い勝手を見ていこう。
メインで使うことになるのはメディアセンターライクな10フィートGUIを備えたPureSpaceだ。これは、あらかじめCarryOn Musicでライブラリ登録しておいた楽曲を再生するというもの。リピート再生やシャッフル再生など、機能はごく標準的だが、上述したように、すべての操作を付属のリモコンで完結できるため使い勝手はいい。
PureSpaceはオンキヨーが開発した「PDAP」(Pure Direct Audio Path)に対応している。これは、Windows Vistaの音量ミキサを迂回して、サウンドデバイスへ直接データを送る技術だ。音量ミキサーを経由することで生じる音質の低下を避けるとともに、音楽再生時にWindowsのアラート音(メール着信音など)が鳴るのも防げる。
CarryOn Musicは、ちょうどiTunesに当たる楽曲管理ソフトと言えば、分かりやすいだろう。CDのリッピングのほか、オンキヨーの音楽配信サイト「e-onkyo music」からの楽曲購入も可能だ。また、背面の端子に接続した外部機器の音声録音にも対応する。
外部入力端子に接続したソースはPureSpace上で再生できるので、各種レコーダーやプレーヤーをつなげて、APX-2を中心としたオーディオシステムを組める。これまで持っていたコンポの代わりにAPX-2を使うこともできるだろう。
Gracenote MusicIDを利用して、音声波形データから楽曲名を取得する機能や無音部分で曲を自動分割する機能も持つ。ターンテーブルを接続する場合には、別途フォノイコライザーを追加する必要がある(レコードプレーヤー側に内蔵されている場合もある)が、アナログ音源をデジタル化し、曲名をつけるといった作業が簡単に行なえる点は魅力的だ。
実際にレコードからの音声取り込みを試してみて気付いたのだが、音声をモニタリングする際に、筐体正面に付いている入力の切り替えボタンが便利だった(リモコンからも操作できる)。
APX-2では入力端子がデジタル2系統(光1、同軸1)/アナログ2系統となっているが、これらの設定をLEDで視認できる。これまたオーディオ機器では当たり前のことなのだが、パソコンだと「オプションを開いてプロパティから……」と面倒な設定をすることが多いので、ユーザーフレンドリーに感じた。
各種設定を行なう常駐ソフト、アンプコントローラーも地味ながら細かい作りをしている。スピーカーをつなげて音をテストしようとしていたときに配線を間違えてしまい、アンプの保護回路が働いたことがあった。このとき、アンプコントローラーから保護回路が作動したことを伝えるメッセージが出てきたのだが、アンプ部の状態がWindows上で通知されることにちょっと感動した。細かい点だが、単にパソコンにアンプを搭載してみましたという安直なものではない、気配りの行き届いた作り込みが嬉しかった。