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次世代ゲーム機が考えるオンラインプラットフォームとは?

2008年03月15日 08時00分更新

文● 編集部 飯塚岳史

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独自プラットフォームとして成熟してきたXbox LIVE


 一方のXbox 360を擁するマイクロソフト(株)では、旧Xbox時代から着々と拡張を続けているオンラインサービス「Xbox LIVE」について、2003年からの運営およびノウハウの積み重ねを「5年間の歩み」として紹介した。

 サービス開始当初は、まさにゲームに特化したオンラインマッチングサービスとして始まったXbox LIVEだが、ユーザーのニーズに合わせてダッシュボード上でのボイスチャットの実装や、Xbox LIVEアーケードの配信映像コンテンツの配信といったように、時代と共に機能を拡張してきている。2003年には75万人程度だった全世界でのユーザー数も、2007年には700万人を突破、現在では1000万人超というユーザー数を誇る。

 また、2007年には「Games for Windows - Live」として、Windows向けゲームでもXbox LIVEを利用したオンラインサービスの提供が開始され、同年6月にはXbox 360版とWindows版の「クロスプラットフォーム対戦」が可能となったFPS「Shadowrun」が発売されている。

Games for Windows

Games for Windows

 先月、米国サンフランシスコで開催された「GDC2008」では、Xbox LIVEのさらなるコミュニティーサービスとして、「Xbox LIVE Community Games」が発表された。同社は、パソコン向けに無料のゲーム開発環境として「XNA Games Studio」を提供しているが、Xbox LIVE Community Gamesは、このXNAを利用して作ったXbox 360向けゲームを、Xbox LIVEマーケットプレースにて配信できるようにするコミュニティーサービスである。

 同社はこのXbox LIVE Community Gamesについて、「ゲームの民主化」とうたっているが、ユーザーがアップロードしたゲームをユーザー同士が評価して適正化させるという、メーカーが介在しないまさに民主化されたプラットフォームを形成している。

Xbox LIVE Community Gamesに投稿した自作ゲームは、ユーザー同士でレーティング付けがされる

 また、Xbox LIVEはユーザーのみならず、開発者向けにも利便性の高いシステムを構築する。もともと同社は開発ツールの提供から始まった企業であり、現在でもその思想は根底にある

 例えば、Xbox LIVEはそのものが開発ツールでもあり、メーカーはオンライン要素を持つゲームを開発する際にも、基本的な仕様がライブラリーとしてXbox LIVEにすべて含まれているので、イチから開発する必要がない。セキュリティー面にしても同様に用意されており、講演を行なったシニアマネージャの田代昭博氏によると「まだ一度もセキュリティーが破られたことはない」という。

Xbox LIVEで実装されている機能のほとんどは、ライブラリーとしてすぐに利用できる

 さらに、ゲームメーカーが独自のオンライン要素を追加できるように、外部サーバーとLIVEサーバーを繋ぐゲートウェイソフトとして「Xbox LIVEサーバープラットフォーム」を用意する。具体例としては、レースゲーム「Forza Motorsport 2」のオークションハウスで利用されているという。これらは、Xbox LIVEが固定されたサービスではなく、ニーズに合わせて時代とともに柔軟に変更できるサービスであることを示している。



メーカーの色が強く出ているオンラインの方向性


 両社(両ハード)のオンラインコミュニティーへの取り組みを見ていると、PS3は3Dでハードの性能を活かしたサービスを、Xbox 360はハードの垣根を越えて、PCをも巻き込んだ統合的なオンラインサービスをそれぞれ目指していることがよく分かる。これはソニー(SCE)がハードウェアメーカーであり、マイクロソフトはソフトウェアメーカーであるという立ち位置の違いに根付いていると思われる。

 また、Homeが次世代サービスらしく、パッと見て「スゴイ!」と思えるほど派手で分かりやすいのに対して、Xbox LIVEは一見どこがすごいのか分からず、体験してみて「すごい」と思えるような作りになっているのも、PS3とXbox 360という両ハードの「特性」がそのまま来ていると言えるだろう。


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