米国でも軽量ノートの需要が誕生!?
石坂 これはあるメーカーの人から聞いた話だけど、ジョブズがディズニーの取締役になったら、ほかの取締役もMacを使うようになったそうだね。ディズニーの取締役となるとほかの会社も兼任している人が多い。企業のエグゼクティブでMacの使用率が上がっているようだよ。
小林 エグゼクティブ層の場合、会議だけで使うのだったら光学式ドライブは特別必要になるわけじゃない。だから、Airは受けるかもしれませんね。デザインも優れているし、移動時も携帯しやすい。
石坂 そういえば、90年代の後半くらいにあるPCメーカーの米国法人が「どんなノートマシンが欲しいか」といったアンケートをとったそうだよ。いちばん多かったのは、ノート1台ですべての仕事がこなせる豪華なもの。しかも大きくて使いやすいというのも条件だった。車でたとえるとキャデラック。最近は、CPUも含めて進化したし、デザインにもこだわれるようになった。飛行機での移動のことを考えたノートパソコンの需要が増えてきているんじゃないかな。米国は日本のサブノートのような携帯性を考えたマシンを求める市場はないといわれていたけれど、そこにAirがうまくハマるのかもしれない。
野末 Airの価格設定はどうなんでしょうか? 下のモデルが22万9800円、上が38万8400円。基調講演で価格を発表したときの雰囲気はどうだった? ブーイングとかは?
中筋 戸迷うような値段であることは確かですが、基調講演の観客はいたって冷静な感じでしたよ。でも、終わってアップルのブースでお客さんはかなり盛り上がってました。アップルの関係者に聞いたところ、Airは日本でも売れてほしいマシンと言っていました。
野末 ネットの反応を見ると、Airのやや高めの価格設定と搭載機能で、Power Mac G4 Cubeのように売れないんじゃないかという意見もある。どちらも上位、下位機種に挟まれているから、機能的にも中途半端に見える。Airは価格がネックになったりしてね。
柴田 そもそもWindowsのサブノートを見ても、爆発的なヒットがないんだよ。メインじゃないからね。だけど、一定の需要は必ずある。
石坂 東芝が64GBのSSDを内蔵し、光学式ドライブを省いた「dynabook SS RX」を発売したよね。価格を見ると55万円! dyanabookと比べると、Airの価格は安いです。
小林 東芝のSSDノートの価格は高いですが、WindowsのノートPCは10万円程度でかなりのスペックの製品を買えますよ。MacBook Airは基本的に高いと思います。
中筋 199ドルの「Eee PC」なんてものもありますしね。
小林 Eee PCは意外といいんですよ。ストレージの容量と表示解像度を除けばね。日本円で5万円前後だし。低価格のノートPCというと、「XO(OLPC)」なんて製品もある。デザインだけ見ると、昔のeMateみたい。
石坂 面白そうなマシンだね。ところで、Airは価格と搭載機能で人によって判断が分かれるところがある。
小林 僕は、Airはいらない派なんです。最低限のことは1台のマシンで完結しないと不安。
中筋 機能を落としてこの価格設定は、アップルとしては明確なビジョンを提示しないとユーザーは納得しませんからね。いまのところ、本体の薄さとデザインだけが注目されている。
石坂 そうだね。僕はAirの下のモデルを、野末君は上のモデルを注文したから、次回の座談会はその感想をテーマにAirの見えなかった部分を話そうか。
(MACPOWER 2008 Spring EXTRA EDITIONより転載)