2台目需要を狙って端末を最適化
── 東芝端末では、何が苦労した点でしょうか?
EM 難しかったのは、端末を触る楽しさを盛り込みつつ、コストもかなり意識しなければならなかったということです。
端末を企画/検討した当時は、まだワンセグ対応端末も数機種しかなく、「おサイフケータイ」もまだまだこれからという状況でした。そうしたこれから普及していくであろう機能を全部採用してしまえば、「全部入り」等と言われるように、訴求ポイントが多くなって安心できますが、同時に端末の価格が跳ね上がってしまう。それでは、既存の他事業者さんとなんら変わりはなくなってしまいます。
後発の新規参入として、「リーズナブルなコストでもっとケータイを使ってほしい、気軽に手に取ってもらいたい」という思いがあったうえ、電話サービスで目指していた2台目のケータイとしての需要を考えると、高い端末は合わない。そこで本当にユーザーが必要としている機能に絞り込んで、価格を下げることにしました。ワンセグについてはグローバルな機能ではありませんが、日本のユーザーを対象としたときに外せない機能のひとつになっていくと考えて搭載しています。
── 2台目需要という話が出ましたが、最初からそれを意識していましたか?
EM 後発として、どうやって業界に入り込んでいくかというのは議論しました。
先日の記者発表会でもありましたように、日本における携帯電話の人口普及率はまだまだ低い。ルクセンブルクや香港、イタリアなど人口普及率が100%を超える国がある中、日本はまだ80%程度です。そういった中で、成長の余地が大きいと考えられるカテゴリーを考えて、2台目としての需要という結論になったわけです。
しかし、価格を下げたといっても、端末は丁寧に作り込んでいます。例えば、ディスプレー背面の市松模様ひとつを取ってみても、すりガラスや光沢タイプなど、さまざまなパターンを試作していて、デザイン面でも丹念に作ったという思いはあります。
派手さはないけど、不便さも感じない端末
── 最後に他社と比べてのウリはなんでしょうか?
EM 端末では、全部入りといったような派手さはないですが、日常使っていただく中で不便さは感じさせない。必要にして十分な機能をシンプルにまとめた、バランスのいい製品だと考えています。
あとは、料金プランやネットワークの通信速度を含めたトータルで、今までに無い価値を提供したい。新しい携帯電話会社として、新しい視点を市場にアピールしていきます。