「応援パートは試行錯誤した結果、1回転して最初の案に戻った」
―― 本作では、前作と比べてあまり細かいゲーム内容の紹介がなかったと思うんですが、音ゲーっぽい感じなんですかね?
坂上氏:認識的には音ゲーということでいいと思います(笑)。基本的には前作のTV出演シーンを抜き出したって感じなんですけど、「ゲームソフト」っていうよりも、気軽にダンスとかを見て楽しめるようなソフトですよね。
ライブやダンスを気軽に楽しめることが目的なので、今回は「撮影」と「応援」の2パートに分かれています。
「撮影」っていうのは、自由にキャラクターをステージに並べて、好きな曲を歌わせながら、TVカメラの設定ができます。カメラアングルは曲を聞きながらリアルタイムでスイッチングできる機能を搭載しました。前作のようなランダムなアングルではなく、好きなキャラクターをいつでもクローズアップできる機能ですね。
「応援」は、タイミングよくコール(声援)を送るパート、いわゆる音ゲーという認識でいいと思います(笑)。「PPPH」をやっていく感じですよね。
PPPHとは
アイドルや声優のライブなどでよく使われる手拍子と掛け声のこと。「パン(P)パ(P)パン(P)ヒュー(H)」の略称で、リズムに合わせて「パン、パパン」と手拍子をして、「ヒュー」の掛け声で右手を上げるのが基本。
これもディレクターの小野田(Xbox 360版開発ディレクターの小野田裕之氏。ゲーム中に登場する楽曲「ポジティブ!」、「relations」の作詞をした「mft」氏と同一人物)と2人で「ユーザーは撮影みたいなものを次に求めているなぁ」って話をしていたんですよ。でも、複雑なゲーム的判定要素を入れてしまうと、気軽さがなくなってしまう危機感がありました。でも、ただライブを見るだけのソフトだと、ゲームでも何でもなくなっちゃいますよね。
それでまずは、全部の組み合わせで丸々見ると、どれくらいかかるかってのを計算してみたんですよ。アイドルを1人から3人まで組めて、ステージが色々とあって、衣装を組み合わせて……。1曲2分として、寝ずに見てだいたい3000億年くらいかかることがわかりました。ワハハハハ! もうその頃には人類はいないなぁと(笑)。地球がなくなるまで遊べます(笑)。
また、実際のコンサートにある「観客との一体感」、「いっしょに盛り上がっていく感覚」をゲームのライブシーンに入れられないかなー? というアイデアがありました。
今は普通に「音ゲー」として見られるようになりましたが、開発途中はもっと違うアプローチもあったんですよ。ただ、「コール(声援)なんてそんな、普通の人は知らんぞ」ってこともあったんですが、いろいろと試行錯誤した結果、くるっと1回転して元のアイデアに戻った、みたいな(笑)。
いろいろと自由にさせてみようか、って話もあったんですけど、手拍子だったり、「フー!」(掛け声)だったり、タンバリンだったり、現時点でも操作が多いんで、今のシステムはそれらを感覚的に分かりやすいものにした感じなんですよ。あまり複雑に考えずに、初めからコレにしときゃよかった、って感じなんですが(笑)。
―― コールのパターンは結構多彩に用意されているのですか?
坂上氏:「基本は気軽に」って感じだったんですけど、難易度はイージー、ミディアム、ハードの3パターンを用意しているんで、既存曲だけでも48パターンですね。さらに既存曲のリミックスバージョンが「Remix A」「Remix B」とそれぞれ2曲あるんですが、曲が変わるとリズムの取り方にとまどったりして、意外とボリュームが出てしまったなぁ、という感じです。
このリミックスは、いろいろ制約がある中で作られたのですが、ものすごくまとまってます! 制約っていうのは、ダンスモーションを取り直していないため「まずダンスありき」でアレンジしないといけない部分ですね。そして開発からサウンドチームへの「もっとホラーっぽく!」「サンバで!」みたいな、要領を得ない注文をしたことです。でも、その甲斐あっていいアレンジになってますよ。特に「戦隊モノ風味で!」と注文した「おはよう!!朝ご飯」はいいデキです。いやぁ、無茶振りしてみるものですね(笑)