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「情報を伝える」さまざまなモノで百花繚乱

日立電線が“脱電線”!?

2008年03月18日 20時13分更新

文● 中西祥智(編集部)

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月刊アスキー 2008年4月号掲載記事

日立電線の売上げ比率

“脱電線”とはいえ、電線・ケーブル事業をおろそかにしているわけではない。今年度は前年比40%も成長するなど、現在でも主力事業であることに変わりはない。

日立電線は、その名の通り、日立製作所グループで電線やケーブル事業を扱う企業だ。ところが、2006年度の売上げ比率において、電線・ケーブル事業の比率は半分に過ぎず、残りの半分は電線以外の事業・製品で売り上げている。

例えば通信事業者向けのイーサネットスイッチ「アプレシア」シリーズ。広域LANや広域イーサネットと呼ばれる、拠点間や都市間の大規模ネットワーク向けの機器だ。この市場に参入したのは2003年だが、その後4年間で10%のシェアを得るまでになった。

あるいは、光海底ケーブル。2002年ごろに光海底ケーブルの市場は大きくシュリンクしたが、昨年からは再び需要が拡大している。同社はこの分野で約3割の世界シェアを持ち、仏アルカテル・ルーセント、米タイコと並び、世界3強の一角を占めるという。

ほかには、携帯電話基地局や地上デジタル放送中継局のアンテナシステム、パソコンや携帯ゲーム機で使われる無線LANアンテナも手がけている。

変わり種では「ガリウムナイトライド」という化合物半導体の製造。これは青色レーザーに使われる素材で、次世代光ディスクの普及による市場の拡大が見込まれる。

すべて「情報を伝える」モノではあるが、同社がこれだけ多様な事業を手がける背景には、20年前に当時の社長が「脱電線」を唱え、事業の多角化を推進したことがある。

当時主力だった高圧電線や電話線などは、電力・通信インフラがほぼ整備されたことで、需要が頭打ちになると予想された。そこで、電線以外の事業へ積極的に投資。その結果、ITバブル華やかなりし2000年度には、携帯電話用の化合物半導体や光部品の需要増で過去最高益となった。

だが、ITバブルが崩壊した翌年度以降、一転して赤字に転落。その後業績は低迷したが、2004年度からは徐々に回復し、2006年度には売上高5442億円、経常利益204億円を達成。「20年前にスタートした事業が、いま花開いている」(同社広報)状況だ。

高機能材料事業

化合物半導体など

情報通信ネットワーク事業

イーサネットスイッチなど
日立電線株式会社
本社:東京都千代田区外神田4丁目14番1号秋葉原UDX
創業:1956年
代表者:執行役社長 佐藤教郎
資本金:約260億円
従業員数:1万5100名(連結)

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