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ダイナミックレンジを広げたハイエンドモデル 富士フイルム「FinePix S100fs」

2008年02月24日 17時00分更新

文● 行正和義

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HRタイプのハニカムCCDなのに
ダイナミックレンジが広がった理由とは?


メニュー画面

撮影時にMENUボタンを押した状態(左上)。メニュー画面の配色はセットアップで選択可能となっている。フィルムシミュレーションは4種類から選択でき、それぞれダイナミックレンジやカラー、トーンの傾向が確認できる(左下)。ダイナミックレンジはAUTO/100%/200%/400%から選択でき、AUTOにしておくと特にコントラストの強いシーンでダイナミックレンジが上がるようだ(右上)。左側面の連写モードボタンを押しながら電子ダイヤルを回転させたところ(右下、本来は1行づつ表示される)。ブラケットや連写は毎秒3コマと軽快に利用できる。高速連写は毎秒7コマだが300万画素相当となる

 本機の大きな特徴がダイナミックレンジの広さだ。デジタルカメラは銀塩フィルムに比べてラチチュード(露光寛容度)が狭いのは確かで、明るいところに露出を合わせれば暗い部分がつぶれ、暗い部分に露出を合わせれば明るい部分は真っ白に飛んでしまう。本機では撮像素子自体のダイナミックレンジに加え、同社撮像素子+映像処理エンジンの低ノイズ処理を活かして、暗部の階調を引き上げることで明部から暗部まで描写できるようにしている。

撮影サンプル1 ダイナミックレンジブラケットで撮影。ダイナミックレンジ100%。絞り優先オート、1/1300秒、F8.0、露出補正-1/3、ISO 400。元画像は3840×2880ドットで、掲載用に800×600ドットにそれぞれリサイズおよびトリミングした以外のレタッチはかけていない

撮影サンプル2 ダイナミックレンジブラケットで撮影。ダイナミックレンジ200%。絞り優先オート、1/1300秒、F8.0、露出補正-1/3、ISO 400(いずれも撮影サンプル1と同一)

撮影サンプル3 ダイナミックレンジブラケットで撮影。ダイナミックレンジ400%。絞り優先オート、1/1300秒、F8.0、露出補正-1/3、ISO 400(いずれも撮影サンプル1と同一)

左から100%、200%、400%のダイナミックレンジ

撮影サンプル1~3を並べてみた。左から100%、200%、400%。ダイナミックレンジを拡張すると暗部表現はそのままにハイライトである雲の白さと雪面の微妙な明暗が表現されている

 同様の処理は撮影後のレタッチでも可能なわけだが、JPEG画像では24bit(各色8bit=256段階)の映像から暗部を引き上げるなどすると階調性が減ってしまう。そのため、RAW画像などJPEG以上の階調情報を持つ画像で処理するのが一般的だが、本機ではそうした処理を撮影時に(カメラ内部で)行なっていることになる。本機では撮像素子からのデータを14bit階調で処理し、暗部を引き上げてJPEG化することで広い階調性を表現している。また、暗部の明るさを引き上げるということはもともと少ない信号レベルを増幅することで感度アップと同様の処理となるが、FinePixシリーズならではの画像処理によりノイズは低く抑えられている。

撮影サンプル5 ダイナミックレンジブラケットで撮影。ダイナミックレンジ100%。プログラムオート、1/350秒、F5.6、露出補正+1。ISO 400

撮影サンプル6 ダイナミックレンジブラケットで撮影。ダイナミックレンジ200%。プログラムオート、1/350秒、F5.6、露出補正+1。ISO 400(いずれも撮影サンプル5と同一)

撮影サンプル7 ダイナミックレンジブラケットで撮影。ダイナミックレンジ400%。プログラムオート、1/350秒、F5.6、露出補正+1。ISO 400(いずれも撮影サンプル5と同一)

上から100%、200%、400%のダイナミックレンジ

撮影サンプル5~7を並べてみた。下から100%、200%、400%。強い逆光によって光っている部分があるにも関わらず、暗部を分かりやすくするため露出+1しているため、台座面はいずれもがほとんど白とびしているが、400%までダイナミックレンジを広げると白い部分に階調が現われているのは驚きだ

 ダイナミックレンジはメニューから100%200%400%の3種類および“AUTO”(コントラストの強い場面ではダイナミックレンジが上がる)を選択できる。暗部を引き上げる関係上、ISO感度も上げる必要があり、ダイナミックレンジ200%のときはISO 200に、400%のときはISO 400相当に自動的に感度アップするようになっている。

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