年の暮れも迫った昨年12月21日、総合情報・人材サービスのリクルートが、人材派遣業界で最大手のスタッフサービス・ホールディングスを買収すると発表。業界5位の企業が2倍以上の売上高を誇る業界トップ企業を買収したことから、トップニュースとなった。そして、この買収劇によって同業界は大きく変動するだろうとの予測も報じられた。今や企業に欠かせない人材供給源である人材派遣業界は、どこへ向かおうとしているのか。
リクルートによる業界トップ買収。人材派遣業界の勢力図はどう変わる?
今回の買収劇の主役であるリクルートは、「リクナビ」や「B-ing」をはじめとする求人広告や転職支援などの人材紹介事業では国内トップの企業グループで、2007年3月期の連結売上高は7569億円にのぼる。ところが人材派遣事業に限定すると、リクルートスタッフィングなどグループ会社7社(リクルート派遣カンパニー)で展開しているものの、合計売上高1908億円と業界5位でしかない。
一方のスタッフサービスは、1997年に開始した「オー人事」のコマーシャルで知名度を上げて急成長。2007年3月期の売上高は3234億円、登録スタッフ数は約157万人、国内事業所は201拠点と、人材派遣業界で国内トップの企業グループとなっている。今回の買収によってリクルートは、業界2位のパソナの2倍以上の規模を誇る、圧倒的なトップシェアを獲得した。
リクルートによる今回のスタッフサービス買収について、テレビを中心とした報道では「業界5位が1位を買収」という事象が大きく伝えられた。だが、小が大を飲むM&Aは、IT業界ではそれほど珍しいことではない。通信統合サービスのインボイスはこうしたM&Aで成長した。そして、人材派遣業界でも、こうした話が過去になかったわけではない。2006年10月には、グッドウィルが業界最大手(当時)のクリスタルを買収している。
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