社団法人日本レコード協会は19日、レコード会社が許諾した正規の音楽コンテンツを配信するサイトであることを表す識別マーク「エルマーク」(Lマーク)を発表した。本日以降、Lマークの交付を受けた音楽配信サイトに順次マークが表示される。
Lマークは、著作権法第30条の適用範囲見直し論議(関連記事1、関連記事2、関連記事3)の過程で、利用者が明確に違法サイトと適法サイトを見分ける工夫が必要、との意見から導入が決まったもの。同協会は2007年3月に専門のワーキングチームを設立し、今回の導入開始に至った。
Lマークは日本レコード協会が、配信事業者とレコード製作者の配信契約を確認したうえで発行する。発行にかかる費用などは無料となっている。
同協会が確認している音楽配信サイトの運営会社は120社あまりで、このうち98社に対してすでにLマークを発行しているという。ちなみに音楽管理ソフト「iTunes」に関しては、アップルから賛同は得られているものの、どのような形でLマークを表示するかを話し合っている段階という。
日本レコード協会では今後、音楽配信サイトだけではなく映画コンテンツサイトなどにもLマークの使用を訴えていくという。
違法「着うた」で音楽業界は危機的状態に
都内で開催された記者発表会では、同協会の専務理事である生野秀年氏が、音楽配信の現状を説明。2005年に343億円だった音楽配信市場は、2007年には750億円にもなっており、音楽配信が今後も普及するとの見方を示した。その一方、ネットでは違法な音楽配信が蔓延しており「危機感を抱いている」と述べた。
特に「着うた」「着うたフル」などの携帯電話向けの違法ファイルは、同協会の推定で年間3億9900万ファイルにもなり、これは正規のダウンロード数(3億2700万ファイル)を上回っていると指摘。深刻な事態になっていることを強調した。
さらに、日本レコード協会 私的録音委員会の委員長代行の秦 幸雄氏は、携帯電話の「検索サイト」と「掲示板サイト」の普及が違法ファイル蔓延の原因になっていると指摘。検索サイトで曲名を検索すると、掲示板などの「無料」の文字が引っかかり、そこから違法ファイルがダウンロードされている現実があるという。
これらのサイトはインターネットとシームレスにつながっており、今後さらに違法ファイルが蔓延していく可能性がある。一方で利用者側は違法であるという認識を持たずに楽曲のダウンロードをしているケースが多く、エルマーク導入で違法ファイルの認知度を高め、今のうちに歯止めをかけたい考えだ。
さらに同氏は、違法ファイルの蔓延は正規の音楽配信サービスに被害を与えるだけでなく、CDシングルの売上げ不振など、音楽業界全体に被害を与えているとし、「相当ひどい状態である」と現状を語った。
