「テーパード・デザイン」の功罪
MacBook Airの最大の特徴は薄さであり、その象徴とも言えるのが最薄部4mmというデザインなわけだが、そのトレードオフもあるにはある。
個人的に非常に気になったのが、ACアダプタの装着。目の前に本体を置いた状態で、ACアダプタのプラグを装着するのがやや困難である。MacBook Airを正面に置いた状態ではコネクターは完全な死角となり、装着しづらいのだ。MagSafeというだけあって磁石でくっつくことはくっつくのだが、接点をきちんと合わせるのにはコツがいる。もっとも、このACアダプタの小ささには感動すら覚える。MacBook ProのACアダプタが暴力的とも感じられるほどで、旅行や出張時が楽になりそうだ。
同様に、USB周辺機器をつなげる際にも、少々苦労するかもしれない。本体を置いた状態でI/Oポートのふたを開き、一発でプラグを差せるようになるには、ちょっとした練習が必要になるはずだ。
発熱について
MacBook Airで最も気に入っているのは、その静けさと発熱の少なさだ。
古くからのMacPeopleの読者の方ならご存じかもしれないが、筆者は多少のパフォーマンス低下よりも、実際に使用するうえでの不快感を極力排したものこそを求めていた。そういう意味では、MacBook Airは理想的とも言えるマシンだ。
もちろん、底面は熱を帯びる。だが、MacBook Proでファンがブン回るときほどの熱は感じない。これは膝の上で使うような局面で特に顕著であり、過去の経験を照らし合わせると、控えめな表現では物足りないくらい快適。今年の夏は、それほど不快な思いはしないで済みそうだ。なお冷却ファンだが、システムのインストール時には回っていたが、木製の机の上でiTunesでAACファイルを再生しながらエディターで文章を書くといった程度ではピクリともしない。
SSDのおかげで、ディスクのアクセス音からも解放される。静かな部屋などでノートパソコンをスリープから復帰させるときなど、意外とディスク音が響いたりするものだ。過去のノート型Macで見られた「熱い・うるさい・重い」といった三重苦からついに解放されたことを素直に喜んでいる。
拡張性やHDD容量は無線LANでカバー可能、「簡便なデータ移行」の実現に期待
多くのユーザーは、MacBookをコンパクトにしたようなマシンを期待していたのかもしれない。実際、発表後のネット上の評価は賛否両論どころか、やや「否」が多いといった印象さえ受けた。
MacBook Airのネガティブな要素をあえて挙げるとしたら、大きく分けて、「価格」(コストパフォーマンス)、「ディスク容量」、「拡張性の低さ」、ということになるだろう。
だが、価格を除く2点については、今後IEEE 802.11nが普及・浸透によって回避できるのではないかと感じる。ただ、FireWireなどの特定ハードウェアに依存する用途、また3Dグラフィックや負荷が高いゲームなど、パフォーマンスを要求するソフトウェアを日常的に使うといったユーザーにとっては話は別となろう。
最後に、これはアップルへの要望となるのかもしれないが、データの移行ソリューションの登場を期待したい。特にiTunesやiPhotoのデータをどうするかは、今回環境を構築するうえで最も悩んだ点だった。私事で申し訳ないが、この両アプリのデータが占める割合が非常に大きく、合わせて50GBちかくあるため、そのほとんどはMacBook Airへの移行を諦めることになった。
できればiSyncのような同期ツールに、異なるMac間でアプリケーションのデータを簡単に同期できるような機能が盛り込まれるとうれしいのだが。ちょうどiPodに音楽や写真を同期するときのように、プレイリストやフォトアルバム単位で選択できたり、再生回数なども反映されたりすると素晴らしい。もちろん著作権保護などの問題はあろうが、ユーザー認証で回避するなど解決策はあるはずだ。