兵糧攻めに近い状況にあるとも言える動画共有サイト
中国メディアも法施行後の状況に注目している。ITサイト「IT168」は1日付けで「法施行後1日目、どのサイトも閉鎖していない」というタイトルの記事を掲載。
四川新聞網は同日に優酷網にインタビューしたところ、同社担当者は「私たちも情報を得ておらず、まだもうしばらく待たなければならない状況にある。現在政府当局から通達がなく、現在上層部が交渉中だろうと思う」とコメント。
さらに同日、華西都市報は施行後の状況を紹介。業界に詳しい人にインタビューをすると、「小さな違法サイトをまずは潰しにいくのではないか」とコメントした。ChinaVentureの上級アナリストの王東亮氏が、第一経済日報の取材に対し「もともとは外資が動画共有サイトに投資していたが、今回の法施行で投資はどこも凍結しているようだ」とコメントしている。
以上のことから、中国の著名動画共有サイトは、しばらく今後も法施行前と変わらない状況が続きそうだ。
ただし、だから問題がないかというとそうではない。中国の多くの著名な動画共有サイトは莫大な維持費を負担しており、ほとんどのサイトが利益を得られていない(これはニコニコ動画も人気のサイトとなりながらいまだに莫大な維持費がかかり、ビジネスとしては成功していないのと同様だ)。それに加え、外資からの資金援助がないため「兵糧攻め」にあっている。中国政府がその気になれば、これらサイトを法のもとに、運営停止させることもできるだろう。
動画共有サイトはいつ何時サイトが停止するか分からない状況にあるのだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。ブログ「中国リアルIT事情」もよろしく!