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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第13回

世界に羽ばたく、日本のamadanaケータイ「N705i」

2008年02月01日 15時15分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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日本と米国で違う、家電事情


 日本のブランド家電の話で思い出したのが、2007年9月、ニューヨークにオフィスを構えるECCO DESIGNのゲーリー・夏目さんを訪問したことだ。

 ゲーリーさんは、プロダクトのデザインとコンセプト、マーケティングリサーチを融合させながら仕事をしている人物。彼は以前、日本のあるPC周辺機器ブランドから、米国展開を目指したリサーチの仕事を受けたという。

 ゲーリーさんによれば、日本ではリビングや書斎、SOHOのスペースなどが明確に分かれていないため、PCや周辺機器にもデザインが求められるという。PCでも、リビングやダイニングテーブルの上に置いて使うことが有り得るのだ。

 そこで鍛えられたPC周辺機器ブランドの製品は、米国のどの製品よりもデザインに優れていた。しかし米国のマーケットの反応はよくなかったそうだ。

 米国では、オフィス用/SOHO用/リビング用、あるいは廉価版/高級版というように、使われる場所や価格によって、プロダクトが規定されている。つまり製品を見るだけで、対象ユーザーや使用場所が分かるのだ。

 例えばオフィス用のモノは、デザイン性よりも機能や効率が重視されている。SOHOは自宅の中にあるミニオフィスの場であるため、やはりデザイン性よりもオフィス用さながらの効率良くコンパクトであるモノが好まれる。PCは拡張性に富んだタワー型が基本になるのもうなずける。

 一方、リビングに置かれるモノはインテリアとして扱われ、デザイン性が求められる。もちろん廉価版にはデザイン代が抜かれるかたちで、ベーシックなデザインが採用される。リビングは仕事をする場ではなく、くつろぐ場。リビングにはPCが置かれなかったし、PCの周辺機器は置かれない。だからこそ、デザインコンシャスなPCや周辺機器がほとんど出てこなかったそうだ。

 昨年11月にデルがリリースしたデザインPC「XPS One」が、「日本のユーザーニーズを意識した」というコメントとともに送り出されたのも、上のエピソードと合致する。日本のメーカーが米国に出て行くと、デザインも性能もいいんだけれども中途半端、と言う結果になってしまう。

XPS One

一体型PCの「XPS One」



「使える使えないじゃなくて、欲しい」


 では、PCやその周辺機器ではないが、世界で使えるamadanaケータイはどうだろう?

 リアル・フリートの広報によれば、N705iは海外のメディアからも注目を集めているそうだ。あるニューヨークのジャーナリストは、N705iに米国のSIMを差して使えないと説明しても、「使える使えないの問題じゃなくて、欲しいんだ」と言われたという。

 あなたがユーザーになったあかつきには、ぜひこのケータイを使って世界を飛び回り、「家電王国ジャパン」を存分にアピールしてきて欲しいものだ。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



*次回は2月7日掲載予定


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