この時代に「人力」で注目を浴びたmahalo.com
こういったユーザーの協力をうまく引き出す仕組みで、昨年、あるソーシャル検索サービスがちょっとした話題となった。「Human-powerd search」(人力検索)と銘打たれた「mahalo.com」だ。
一部では「グーグルキラー」とも評価されるmahalo.comは、検索結果ページをコンピュータ処理しているのではなく、なんとスタッフが人力で制作している。
Web2.0という言葉に慣れ親しんだ人には何かの冗談かと思うかも知れないが、このmahalo.comが気の利いた結果を表示してくれるということでアクセスを伸ばしているというから面白い。
例えば「apple」と検索すると、企業のアップルについての検索結果トップ7件が表示されるほか、企業についての情報や株価のグラフなども表示されるなど、検索を調べものやガイドとして利用している人に使い勝手の良いものとなっている。人力だけに、検索する人のニーズにうまく応えられるわけだ。もちろん、フルーツのappleやビートルズで有名な音楽レーベルのappleについて調べたい人のために、それらの検索結果ページへのリンクも表示される。
しかし、人手では限界も
ただしmahalo.comは人力でページを作っているために更新速度は遅く、キーワードにヒットしない場合もある。
この問題の解決策となるのがユーザーを検索システムに取り込む「ソーシャルネットワークの機能」だ。mahalo.comに登録したユーザーは、プロフィールを作成したり友人を招待できるほか、自身のおすすめリンクを投稿できるようになっており、スタッフの承認が通ったリンク数がポイントのように表示されるシステムになっている。つまり、承認リンク数がユーザーのモチベーションとなって、mahalo.comの「精度」に貢献してくれるというわけだ。精度が向上すればさらにユーザーが集まり、より精度が向上していく。
ソーシャル検索自体は2006年頃から試みが続けられていて、ヤフーやグーグルもすでにテストを行なっているが、今のところ大きな評価を得ているとは言い難い。活発なユーザーコミュニティを形成できていないのが、成功に至らない原因だろう。多くの成功したソーシャル系サービスがそうであったように、うまくユーザーを乗せて活発に活動させることができれば、サービスを爆発的に発展させることも不可能ではない。Wikia Search成功の鍵は、このソーシャル的な仕組みにある。