Mac Proベンチマークテスト
新Mac Proは、CPUが4コア(Quad Core)になっただけでなく、フロントサイドバスが1.6GHz、ビデオカードのPCI Expressスロットが従来の2倍の帯域を持つPCI Express 2.0となり、足回りも着実にパワーアップ。編集部で入手したクロック周波数2.8GHzの4コアIntel Xeon×2基を搭載した標準モデルの実力を、ベンチマークで見ていこう。
iTunes 7 AACエンコード
iTunes 7.6を使って、AIFF形式のファイルをAAC形式にエンコードするのにかかった時間を計測した。基本的にCPU性能に依存するテストだが、エンコードの負荷は複数のコアをフル活用するほどではない。そのため、ほぼクロック周波数通りの結果が現れている。
QuickTime H.264エンコード
QuickTime Playerのプロ版を利用して、DVムービーをH.264形式へエンコードした。iTunesのベンチマークと同じくこちらもCPUの処理能力がモノを言うが、違いはその負荷の大きさだ。ムービーエンコードの負荷は非常に大きいため、4コア程度ではまだまだまかない切れない。そのため、8コアの新Mac Proの性能が遺憾なく発揮されている。
Adobe Photoshop CS3 スクロール/アクション
2Dの描画と実際に即した処理性能を調べるために、「Adobe Photoshop CS3」を使って縦長画像のスクロールと、さまざまなフィルターを組み合わせたアクション処理のベンチマークテストを実施。後者はマルチコアをフル活用するほど負荷がないためiTunesのエンコードと同様の結果。意外な差が現れたのは、2Dスクロールのほうだろう。最近ではビデオカードが少々グレードアップした程度では2Dスクロールの差に顕著な違いが表れることはないが、新Mac Proは明らかに高速だ。これは、ビデオカードの違いというよりも、新アーキテクチャーに由来するものと思われる。
Doom 3フレームレート
米idソフトウェア社製の3Dアクションゲーム「Doom 3」のベンチマーク機能を使って、3Dアニメーションのフレームレートを計測した。グラフィックチップとCPUの性能が反映されており、新Mac Proの総合力が順当に表れている。
CINEBENCH R10 レンダリング
独マクソン・コンピュータ社製の3Dベンチマークソフト「CINEBENCH R10」を用いて、CPUおよびOpenGL(GPU)レンダリングのテストを実施。純粋なベンチマークソフトのため、CPUスコアはコアの数が2倍になっていることを反映。一方、GPUのスコアも帯域幅が2倍になったPCI Express 2.0の恩恵が如実に示されている。
1GBファイル/フォルダーコピー
ハードディスク性能を調べるために、容量が1GBの単体ファイル/多数のファイルを含むフォルダーを起動ディスク上で複製する時間を計測した。ハードディスクそのものの性能は新旧ほとんど変わらないため、フロントサイドバスが高速化したぶんディスクアクセスが速くなっている。
ベンチマークテストはいずれも、Mac OS X 10.5.1、搭載メモリーは2GBに統一して実施した。グラフの数値は旧Mac Pro 2.66GHz Dual Core×2を100とした相対値で、バーが右に伸びるほどパフォーマンスが高いことを意味する。なお、実測値はグラフの右側に記してある。なお、旧モデルのビデオカードはともに米エヌビディア社製の「GeForce 7300GT」で、ハードディスク容量は250GBだ。
ベンチマークの結果を眺めると、正直なところ実際に8コアの恩恵を受けられるのは3D CGやムービーのエンコードといった非常にCPU負荷の高い処理に限られるようだ。しかし、新Mac Proはアーキテクチャーそのものが新しくなり、フロントサイドバスが高速化している。そのため、全体的なパフォーマンスについては着実に向上を望めるマシンと言えるだろう。