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AMD、事業方針説明会で「AMD LIVE!」を披露

2008年01月21日 21時24分更新

文● 編集部 小西利明

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 日本AMD(株)は21日、東京都内にて2008年事業方針説明会を開催し、2007年の決算と2008年の製品戦略の要点について説明を行なった。また、3Dユーザーインターフェース(UI)を使うメディアアプリケーション「AMD LIVE! Explorer」を使ったオンラインコンテンツ視聴のデモや、低所得地域の児童向け低価格ノートPC「XO」などを披露した。

 AMDは2007年第4四半期の決算で、約17億7000万ドル(約1876億2000万円)の売上高を記録した一方で、旧カナダATIテクノロジーズ社の買収で生じた評価損(無形固定資産の減損損失)により、営業損失は約16億7800万ドル(約1778億6800万円)となり、純損失では約900万ドル(約9億5400万円)の赤字を記録した。

日本AMD マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏

日本AMD マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏

 ただし、損失のほとんど(約16億6900万ドル、約1769億1400万円)がATIの買収と合併に伴う費用であり、CPUやグラフィックスチップ(GPU)などの売り上げについては、2007年第3四半期と比べてそれぞれ9%増、3%増と増加を記録している。同社マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏は、計上された評価損について「(どこかに)お金を払うわけではない」と述べ、巨額の営業損失が同社の財務体質を危機に陥らせているわけではないとした。

 一方で合併の成果としては、クアッドコアCPUの「Phenom」、チップセット「AMD 790FX」、GPU「Radeon HD 3800」で構成される「Spider」プラットフォームの発表などに現われているとした。また、Radeon HDシリーズのGPUやAMDチップセット搭載マザーボードのシェアも伸びているほか、ノートパソコンでの採用も増加していると述べた。同社代表取締役社長の森下雅俊氏も、(株)東芝のノートパソコンにGPUが採用されたほか(関連記事1)、日本電気(株)がAMD CPUなどを採用したデスクトップとノートパソコンが売り上げ1位を記録するなど、ビジネス自体は好調であったとの見方を示した。

 一方で、クアッドコアCPUのエラッタ問題などで揺れるサーバー市場についても、日本の大学が導入するスーパーコンピューターでAMD CPUが相次いで採用されるなど、「シェアは増した」(吉沢氏)とのことだ。

大学のスーパーコンピューターでのAMD CPU採用事例

大学のスーパーコンピューターでのAMD CPU採用事例。日本トップクラスの大学に相次いで納入が決定している

 2008年前半のPC市場向け製品戦略についても、簡単に語られた。まずデュアル/トリプル/クアッドコアCPUと、新チップセットであるコード名「RS780」、Radeon HD 3000シリーズで構成される「Cartwheel」(カートホイール)プラットフォームが登場予定となっている。特にGPUを内蔵するRS780チップセットについて吉沢氏は、「DirectX 10、UVD対応など、注目していただきたい」と述べて、自信をうかがわせた。

2008年前半のプラットフォーム戦略

2008年前半のプラットフォーム戦略。デスクトップにCartwheel、ノートにPumaの異なるプラットフォームを投入

 また、ノートパソコン向けに新設計されたデュアルコアCPU「Griffin」を採用する「Puma」プラットフォーム(関連記事2)が、Cartwheelに続いて登場する。チップセットはRS780のモバイル版であるRS780Mを採用する。


3D UIで高度なビジュアル体験を

 米AMD社が8日に発表した「AMD LIVE! Ultra」は、Spiderプラットフォームを採用するデスクトップ、およびPumaプラットフォームを採用するノートに冠されるブランド名である。事業説明会では、このAMD LIVE!向けに提供されるアプリケーション「AMD LIVE! Explorer」によるデモも披露された。

「AMD LIVE! Explorer」のデモ画面

「AMD LIVE! Explorer」のデモ画面。円筒形に配置されたそれぞれの動画は、静止画サムネイルではなく再生されている

 PC内に保存されたHD品質の動画や静止画のサムネイルを、GPUの3Dグラフィックス機能を使って立体的(デモでは円筒状)に配置して選択、再生できる。また、遠隔地のサーバーPC上に保存されているコンテンツを、ストリーミング再生させる機能も備えている。AMD LIVE! Explorerは2008年前半に日本語化も行なわれる予定とのことだ。

AMD LIVE!が実現する環境

AMD LIVE!が実現する環境。ネット経由でPCからPCへコンテンツを送るだけでなく、携帯機器にも無線LAN経由で転送できる

 また、同社の組み込み向けCPU「Geode」シリーズを搭載した100ドルPC「XO」も披露された。非営利法人「One Laptop per Child」(OLPC)が開発したノートPCで、貧しい地域の子供たちにもPCとインターネットを利用した教育手段を与えるために企画されたものだ。XOを提供する活動はすでに開始されている。日本では滅多に見ることのないPCだけに、来場した報道関係者が興味深そうに触れていた。

100ドルの児童向けノートPC「XO」

100ドルの児童向けノートPC「XO」。見た目からくる印象ほど軽量ではないが、1.5kg未満の重量で5時間程度のバッテリー駆動時間、無線LANも内蔵する。屋外でも使用できるように、防塵・防滴にも配慮されている

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