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Macworld 2008 リポート Vol. 2

津田大介が見た、Macworld基調講演──見所はネットの映画配信だ!

2008年01月16日 07時00分更新

文● 津田大介(ジャーナリスト)

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【4】Apple TV


Apple TV

Apple TV

 4つ目は、ネットワークメディアプレーヤー「Apple TV」のアップデートだ。スティーブ・ジョブズCEOは基調講演にて、Apple TV型の家電用セットトップボックスがどこも成功していないに触れ、スタンドアローンで利用できるセットトップボックスの重要性をアピール。これまでパソコンからコンテンツを転送して使う必要があったApple TVを、スタンドアローンで利用できるようにバージョンアップした(関連記事)。

 新サービスのiTunes Movie RentalsがApple TV経由で利用できるのはもちろん、Podcastのダウンロードや、iTunes Storeで売られている音楽や動画の購入も可能。ネットの写真共有サービスとして人気の高い「flickr」やアップルの統合インターネットサービスである「.Mac」にアップロードした写真も見られるようになった。また、従来通り、YouTubeもAppleTVから直接視聴することができる。

 大きなポイントとして会場が沸いたのは、HD画質のムービーのレンタルにもApple TVが対応したということ。レンタルしたムービーは、HDMI端子で出力して大画面テレビで見ることができる。HD画質のレンタルは旧作が3.99ドル、新作が4.99ドルと、通常のiTunes Movie Rentalsよりも1ドル上乗せされる。

 これらの機能がすべて無料のソフトウェアバージョンアップで利用できるようになるのは嬉しいところだ。また、Apple TV自体の本体価格も、40GBモデルが299ドルから229ドル、160GBモデルが399ドルから329ドルに値下げされる。

 次世代DVDは、この1月にHD DVD陣営からコンテツホルダーが離脱するという報道が相次ぎ、ようやくブルーレイが勝利を収めそうな気配だ。しかし、そんなことよりも先にHD画質のレンタルでこれだけ気軽に利用できるようになるなら、ブルーレイのようなパッケージよりも先にApple TVとHD画質のムービーレンタルサービスが広く普及して先に天下を取ってしまうということもあるかもしれない。

 日本においてはiTunes Storeのコンテンツが貧弱な状況で、ムービーレンタルもいつ始まるのかわからないため、インパクトはあまり大きくない。とはいえ、先日、早稲田大学で行われた角川グループホールディングス代表取締役会長の角川歴彦氏の講演で明らかにされたところによれば、ジョブズは角川氏に対してアニメや日本映画などのコンテンツをiTunes Storeで配信することを強く要望したそうで、水面下では日本のさまざまなコンテンツホルダーとも交渉も始まっているのではないかと思われる。

 HDのように規格やDRMがまだ不安定なコンテンツの場合、Apple TVのようにオンデマンドで欲しいコンテンツを見られるほうがユーザーにとっては都合がいい。その意味で、日本のコンテンツホルダーもこのシステムに乗らざるを得ないくらいに成功することを期待したい。


(次ページに続く)

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