起動ディスクは外付けデバイス
筆者がPowerBook G4のスクリーン裏側に装着しているデバイスは、外付けハードディスク「FireLite SmartDisk」である。もちろん、普通のコンピューターショップで購入できる製品だ。現在は120GBの外付けハードディスクを着脱可能なベロクロテープを使って張り付けている。
ここで大切なポイントは、一見外付けの「補助ディスク」のように思えるが、実は「起動ディスク※1」として利用してるということ。すなわち、OSもアプリケーションも、自分のデータファイルもすべてこの120GBの外付けハードディスクに保存し、そこからMacを起動しているわけだ。
※1 OS X以降、マシンのモデルが違っても同じシステムファイルから起動できるのがMacの長所のひとつ。ただし、PowerPC MacとインテルMacの間に互換性はなく、筆者の外付けハードディスクで起動できるのはあくまでPowerPC Macだけだ。
大学や自宅などで複数のPowerBookを利用しているが、いつもこの外付けハードディスクを「マスターディスク」として持ち歩き、そこからシステムを起動させている。その結果、複数のマシン間のデータやシステム環境の一貫性は自動的に保証される。
複数のマシン間でOS環境やアプリケーション、何よりデータファイルをシンクロするのは決して容易ではない。.Macなどのネットサービスを使ってシンクロする方法、あるいはマシン同士を直接接続してシンクロする方法などさまざまな手段があるが、どれも時間がかかり、正直なところかなり面倒くさい。特に、同時並行的にファイルを更新してしまった場合などは差分バックアップでも矛盾が生じ、シンクロを自動実行できなくなる。
このような苦労をなくして常に同じ環境で作業するためには、内蔵ハードディスクを使うのではなく、いっそのこと外付けハードディスを起動ドライブとして使うのがいい──そう考え、ここ数年はこの方法をずっと実践している。
内蔵ディスクがバックアップメディア
ローテクと笑う向きもあるかもしれないが、スクリーンの裏側にベルクロテープを使って外付けディスクを着脱することで、複数のPowerBookの間の移動が容易になり、この方式の利便性を大きく向上させた。
さらに、着脱するたびに「更新したファイルを内蔵ハードディスクへバックアップする※2」という方式も併用している。すなわち、PowerBookの内蔵ハードディスクに、変更のあったファイルを外付けディスクからこまめにバックアップしているのだ。
※2 このバックアップ作業のために、米イーコン・テクノロジーズ社の「ChronoSync」というシェアウェア(33ドル)を導入している。
先にも書いたように、自宅と大学とで複数のPowerBookを使用しているため、バックアップも自動的に複数作られることになる。物理的に分散した複数マシンの内蔵ディスクをバックアップ用のメディアとして使用することで、データ喪失のリスクを限りなく減らすことができるわけだ。
飛行機に乗るときなどはこの外付けハードディスクを外し、ジャケットの内ポケットに入れておく。PowerBook G4の入った荷物とは別にしておけば、万一PowerBookが盗難に遭っても、この外付けディスクさえあればほかの人からマシンを借りて、講演などの仕事を無事に続けられる。
(次ページに続く)
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