Xbox 360 PRチームの巽氏に直撃!
【Xbox 360 インタビュー Vol.1】週販1000台前後から奇跡の回復を見せるXbox 360 その要因は?
復活の要因は、サービスの拡充とそれに対するソフトメーカーの支持
編集部 去年の一時期、週間のハード販売台数が1000台前後にまで落ちてしまい、ゲームファンからは「360はもう終わり」みたいな認識を持たれてしまった部分もあると思うのですが、今は週販3000台あたりを下限として持ちこたえており、ソフトも有力タイトルがバンバン出ています。今まで見てきたゲーム機で、あそこまで低迷しながら持ち直しているケースは見たことがないのですが、この復活劇としての要因は何だと思われますか?
巽氏 要因として考えられるのは、やはり「Xbox LIVE」というネットワークサービスですね。このマイクロソフト独自のサービスが約半年ごとのアップデートで充実してきたことにより、ユーザーだけでなく、ソフトメーカーに対してもゲームの作りやすさや表現のしやすさが伝わっています。このあたりがソフトメーカーさんからの支持をいただいて、ソフトラインナップが拡充できている点だと思います。
また、サービスがしっかりしているので、「アイドルマスター」のようにオンラインでのコンテンツ配信が成功しているモデルもいくつかあり、単純にハードが売れる以外にもいろんなビジネスチャンスを秘めているハードであると思います。
編集部 360はコアゲーマーには十分な訴求ができていると思うんですが、それ以外へのユーザーへの認知度がまだ不十分だと思います。そのあたりへの対策は?
巽氏 Xbox LIVEのオンライン機能やボイスチャットなど、“触ればわかる、やればわかる”という点については、オンラインイベント(Xbox LIVE パークなど)や、オフラインイベント(ゲームショウや2周年記念パーティーなど)を通じて、伝えていきたいと思っています。特にオフラインイベントでは、新規のユーザーにもオンラインの楽しさを伝えていけるように、といった感じです。
ただ、一般にゲームが一番の趣味って言う人は、10年前に比べると減ってきていると思うんですよね。携帯などでも十分ゲームができるようになっている中で、コンシューマー機での差別化をしていけるか、というのが課題です。
先日(12月4日)のアップデートで追加された「ファミリータイマー」もそうですし、今後のシステムアップデートで機能を拡張していくことで、ちょっとでも色々な場面で認知度を上げていければ、と。実際、この機能が追加されたことにより、子どもにXbox 360を買ってあげようか、と言ってくれたユーザーもいるんですよ。
我々のマーケティングメッセージとしても、もっと360のオンライン機能などが一般の方の目に触れるようにしないといけないのは課題としてあります。そもそも「360」(サンロクマル)と言って、このゲーム機のことだとわかってくれる人が少ないのも現実ですね。
実際にいろんなハードでさまざまなタイトルが発売されていますけど、10万本を超えて売れるソフトっていうのは、本当に少なくなっていますよね。ケータイゲームとか、ほかのエンターテイメントのジャンルに食われている状況で、10年前とはガラッと変わってきています。今までは年間2~3本、FF(ファイナルファンタジー)やドラクエ(ドラゴンクエスト)、ウイイレだけを買っていたユーザーさえ、どんどん離れていっている感じはしています。
マイクロソフトとしては、イベントやメディア、CMなどを含めて、「これだけの幅広いラインナップがある」ということを継続して伝えていきたいと思っています。
ユーザー層は若者とコアゲーマーに二極化
編集部 ところで、巽さんといえばイベントなどの司会をよく担当されているようですが、初代Xboxのときと比べてユーザー層は変わっていたりしますか?
巽氏 先日、Halo 3の日本一を決める「Halo 3 Japan Championship」(関連記事)と、Xbox 360 2周年記念パーティーを開催しましたが、Halo 3大会に出場したユーザーやお客さんと、その後のパーティーではユーザー層がガラリと変わりましたね。
大会を見に来ていたユーザーは若くて……って言うと語弊があるかもしれないですけど、若くて、うまくて、すぐに誰とでも友達になってしまうようなユーザーなんですよ。LIVEでもすごく遊んでいるんですけど、進学とか就職とか、彼女ができた、なんていう環境の変化で、ピタッと止めてしまう可能性も持っています。でも、ハマってしまうと1週間に30時間とか遊んでしまうんですよね。会場でお互いに声を掛け合って、学生のノリで仲良くなってしまう。
一方で2周年記念パーティーで来ていただいたユーザーは、ずーっとゲームを追いかけてきたような、進学も就職もゲームをしながら乗り越えてきたようなユーザーですね。大会に来たユーザーに比べると、年上で落ち着きがあるというか、ゲームが趣味で、結婚しても子どもができてもゲームをしているような感じですね。こういった人たちからは、名札にハンドルネームを書いてもらわないと声をかけ辛くて、コミュニケーションがしにくいと言われることもあります。
360は、若いユーザーと、ゲームを追いかけてきた人たちといった「2つの層」に支えてもらっていると思っています。我々としては「彼らのいいところをどう伸ばしていけるのか」が課題なのかな、と思いますね。それぞれのユーザーの属性がガラリと異なるので、CMひとつにしても印象が異なってしまうんですよね。
編集部 なるほど。実際にHalo 3大会では最前列で取材させてもらまして、すぐ後ろに出場選手たちがいたんですけど、確かに若さを非常に感じましたね。
(12月30日昼頃 更新予定のVol.2へと続く)
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