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実売3万円台でも結構普通のパソコン

激安パソコンが狙うはまだ持っていない10億人

2007年12月22日 00時00分更新

文● 岡本善隆(編集部)

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月刊アスキー 2008年2月号掲載記事

Eee PC

現在アメリカ、台湾で発売されているのはメモリが512MB、4GBのSSDを搭載する399ドルのモデル。299ドルのモデルではそれぞれ256MB、2GB SSDとなる。それ以外の主要スペックではCPUにはCeleron M、800×480ドットの7インチワイド液晶を搭載し、重量は0.92kg。イーサネット、無線LANの機能も装備する。

 パソコンの低価格化、コモディティ化が言われて久しいが、それでも携帯電話より価格的機能的により高いモノであることは変わりなかった。しかし、そんな状況を覆す存在が現れた。それがASUSTeKの「Eee PC」だ。なんと299ドルのノートパソコンである。日本のケータイが本来の価格より格安で売られていることを考えると、実はケータイより安いパソコンということになる。

 価格は安くても中身はパソコンそのものである。HDDこそ装備しておらず、ストレージは2~8GBのフラッシュメモリに限られるが、CPUは数年前のパソコンよりずっと高性能。またイーサネットや無線LANも搭載しており、ネットワーク端末としての性能は十分だ。OSはLinuxベースで、ウェブブラウザやフリーのオフィスソフトを導入してあるなど、一般的な用途には十分だろう。

 Forbes.comでは開発の経緯について、詳細なインタビューが掲載されている。それによると狙いはまだパソコンが普及していない第三世界だという。現在世界の年間パソコン販売台数は3億台弱程度。10億台を超えたと伝えられる携帯電話と異なり、パソコンにはまだのびしろがある。実際にはネット接続環境の未整備など、途上国における普及には課題も多いが価格面での障害は小さくなった。また開発にはインテルが 関わっているという。同社にとっては新しい市場へのテストベッドという意味合いもあるのだろう。

 一方、このマシンにウィンドウズが搭載されていない点には注目である。下はウォルマートで199ドルで販売された「gPC」で、これもLinuxベースのOSを搭載する。「パソコンで一番高いパーツはウィンドウズ」という揶揄が現実化した形だが、ネット上のサービスを活用するだけで、パソコンの便利さを一通り体験できるようになった現在、新しい市場にウィンドウズの価値をどう打ち出していくのかは興味深い。なお当初はアメリカと台湾での発売だったが、日本でも2月上旬の発売を予定している(価格は5万円前後だが、日本発売モデルの詳細スペックなどは未発表)。停滞気味の国内パソコン市場に活を入れる意味でも期待の存在と言えるだろう。

ウォルマートで199ドルで発売された「gPC」。UbuntuベースのLinuxディストリビューション「gOS」を搭載し、FirefoxやSkypeなどの基本的なアプリはプリインストールされている。CPUはVIA「C7」とやや貧弱だが、一般的な用途には十分実用的だろう。

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