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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第10回

PC的インターフェイスの鬼「N905i」

2007年12月21日 13時50分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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慣れたインターフェースを大切にしたい


 もうひとつの画期的な入力インターフェースの搭載については、ひとことで言えば「パソコンのインターフェースをケータイ向けに最適化した」ということ。

 ケータイのポインティングデバイスというと、矢印キーが一般的だろう。

 矢印キーは、当たり前ながら、1回押すとカーソルが1つ動く。キーを押しっぱなしにすれば、連続してスクロールすることもできるが、目的の項目にピタっと止めたいときは、キーを連打して必要な分だけ動かすほうがいい。

 連打といえば、10秒間の連打数を競うゲーム(ハドソンの「シュウォッチ」など)があったほどだから、特にファミコンに慣れ親しんだゲーム世代にとってはおなじみのものだ。

W53S

「W53S」十字キーの中央に配置されているのが「+JOG」

 もちろん、以前の「W53S」の記事でも取り上げたように、連打という操作は決して素晴らしいわけではない。

 矢印キーに変わるインターフェースとしては、W53Sに搭載されている「+JOG」のように矢印キーと同じ動作を別のデバイスで実現するものや、iPhoneのように「直接液晶ディスプレーのボタンに指で触ればいいじゃないか」とタッチパネルを備えたものなどが出てきた。

 しかしながら依然として矢印キーのケータイは発売され続けており、この旧来のインターフェースを選ぶ人もいるのだ。



トラックボール派の僕だから……


 そうした「できれば慣れたインターフェースを使いたい」という人たちの気持ちもよく分かる。それは、僕自身が経験してきたことでもあるからだ。

 ノートパソコンに搭載される標準的なポインティングデバイスは、今でこそタッチパッドだが、僕が初めて手にしたノートパソコン(DECの「digital HiNote Ultra II」)には、トラックボールが内蔵されていた。マウスではない、このトラックボールというデバイスに僕はほれ込んだものだ。

 思い切りボールを回して、それを止める。広い画面の中を移動していくポインターの操作方法として、とても楽だ。一方、微妙な操作が必要な画像やイラストの編集作業の場面でも、指先に集中すれば、細かく正確なポインティングを実現できた。

 いまだに僕は、デスクトップのMacintoshで握って余りあるくらい大きなボールを持つケンジントン製トラックボールを使っている。それほど慣れたインターフェースを手放したくない、という意識は強いのだ。

 トラックボール付きのケータイはさすがに出てこないと思うけれど、慣れたインターフェースの心地よい感覚を、ケータイにも持ち込めたらいいんじゃないか? そこに答えを出してくれたのがN905iである。

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