システム側で気付かせる工夫が必要
── ブログなどに不用意な書き込みをして、炎上にまで発展するのはなぜでしょうか?
津田 それはブログや日記の書き手側に、パブリックな場で書いているという意識が欠けているからなんでしょうね。
mixiの話でいえば、前から「悪事自慢」を書いて、それがネットで注目されて炎上するなんてことは頻繁にありました。個人的にはmixiがシステム側のポリシーとして、新規会員が登録して日記を書く際のデフォルト公開設定を「友人まで公開」にしておけば、ある程度の炎上は防げたのではないか、という気がしています。
「全体に公開」にしておく方がページビューは伸びるでしょうから、そのあたりはmixiとしても難しいんでしょうが、これだけ大きなコミュニティーは、ひとつの大きなメディアの役割も果たしています。
メディアとしてきちんとユーザーに対して啓蒙を行なったり、炎上がおきにくいシステムを模索することは重要なのではないかと感じています。具体的に言えば、「自分の書いたことは不特定多数の誰かに見られている」と明確に意識させる仕組みを入れるべき、ということですね。
── 炎上を防いだり、コメントの質を上げるために、何かアイデアはありますか?
津田 ちょっと別の仕組みになりますが、個人的にいいなと思っているのは、はてなブックマークに「はてなスター」機能が追加されたことですね。あれが実装されて、全体的にコメントの質が上がった印象を受けてます。
誰かがブックマークした際に書いたコメントが面白かったら、そのコメントを読んだ人がスターを付けられる。そのスターを見て、さらにコメントが盛り上がるという状況も起きる。炎上対策に「これだ!」という正解があるわけもないのですが、このようにシステム側がさまざまな方法を模索し続ける中で、ある程度見えてくる部分もあるんじゃないかと。
「ニコニコ動画」のような、コメント数が一定数を超えると古いものから表示されなくなり、賛否両論が出ている動画でも根拠もなく誹謗中傷するようなひどいコメントが場の空気に押されて消されていくという仕掛けもいいと思います。
もちろん、現状のニコニコ動画のコメントは良くも悪くもカオスな状態になっているので、いずれある程度のゆるいガイドラインを設けてその中で落としどころを探っていく必要はあると思いますが……。
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