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【レビュー】世界初有機ELテレビ「XEL-1」は、ひとりじめ感が最大の特徴

2007年12月31日 11時00分更新

文● 編集部 小林 久

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ホコリが目立つが、掃除して愛でるのもまた良し


 有機ELパネルのもうひとつの特徴が「薄型パネルが作れる点」だ。XEL-1のパネルもわずか3mmという薄さだ(駆動回路が収納された下半分はそれより厚みがあるが)。デザインもこのパネルの薄さを強調した「シンプル」かつ「ミニマム」なイメージを追求したもので、洋風のインテリアにも和風の家具にもマッチする。

XEL-1

背面には地上デジタル用の室内アンテナを収納している。電波受信が良好な地域なら電源さえつなげば、そのまま使えるコンセプトだ

 機能性を考えると、表示部分が上下にチルトするだけでなく、左右にパンしてほしいという要望があるかもしれない。しかし、片手でひょいと持ち上げられる軽量コンパクトなサイズに、地上デジタル/BSデジタル/110度CSチューナーに加え、室内アンテナやDLNAやUSBホスト機能などもうまく収めた点は高く評価できる部分だと思う。

XEL-1

背面はメタリックパーツだが、汚れが目立ちやすいのと、映り込みしやすいのがちょっと面倒

 外装はピアノ塗装にメタリックアームという構成。高級感がある一方で、指紋やホコリが目立ちやすい点はちょっと気になる。特に放熱&スピーカー用に空けられた台座部分の穴に小さなホコリが入り込むと少し歯がゆい。とはいえ、ブロアーと掃除用のクロスを持って、1日1回本体をなでまわすのもありかなと考えている。

 本体には掃除用のクロスに加え、ディスプレーカバーまで付属する念の入りようだ。「拭いて愛でる」ことで「所有感も高まる」ということを考えれば、それもまた良しとしたい。

 室内アンテナ内蔵で、電源に接続するだけで地デジが観られる点も本機のウリだが、都心から電車で1時間ぐらいの場所に住んでいる筆者の自宅では、残念ながらその恩恵を受けられなかった。筆者としては少々複雑だが、これも東京タワーが見える位置に住んでいるような「恵まれた住宅事情」の人にはうれしい機能だと思う。



クロスメディアバーを中心にしたシンプルなUI


 本体の反応に関しては、電源を入れて画面が表示されるまで少し(5~10秒ほど)時間がかかる。起動してしまえばチャンネルの切り替えやEPGの表示などは割合速く、ストレスは感じない。

XEL-1

XEL-1のXMB画面。ソニー製品ではこのへんのインターフェースの統一感があるのがいい

 XMB(クロスメディアバー)の動作も、PS3に比べると若干遅い気はするが許容範囲だろう。DLNAやUSB接続で、何百個もあるファイルから目的のものを選ぼうとするのでもなければ、問題ない速度である。

 XEL-1を使う上で、1点留意したいのが寿命の問題だ。カタログやマニュアルでは、3万時間(毎日8時間見て10年)の寿命がうたわれているが、これはパネルの輝度が半分に落ちるまでの時間だ。実際にはそれよりも早く画質の変化を感じるのではないかと想像する。また有機ELの場合、画素ごとに寿命のバラつきが出てしまうかもしれない。このあたりを調整する回路を搭載しているというが、実際どうなるかは使い続けてみなければ分からない。

XEL-1

フルHD(1920×1080ドット)で撮影した静止画を表示したところ。静止画の表示では解像度不足と感じるが、これはパソコン用モニターを見慣れているせいだと思う。もちろんそれ以外の要素──コントラストや明るさという観点では比べようもない画質だが。デジカメで撮影したのでモアレが生じて色の再現もできてないが、実際の印象はかなり鮮やか

 マニュアルを見ると、同じ画面を常に表示させた場合、「焼き付きが生じる」という記述もあった。例えば左右に黒いスペースができる4:3のソースや、ゲームやDVDレコーダーのメニュー画面などをずっと表示させておくのはNGである。XEL-1では、一定時間操作をしないと、自動的にサスペンドに入る設定があるので、我が家では2時間に設定して使っている。

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