プロならではのこだわり:enaトークセッション
トークショーのゲストであるenaさんは'04年、FM802が進めるアートプロジェクト「digmeout」のオーディションを通過したあと本格的にイラストレーターとして活動を開始した若き女性クリエーターだ。モノトーンの女性を繊細なタッチで描く作風が瞬く間に評判となり、本拠地の大阪だけでなく全国的に幅広いジャンルで活動を展開。現在では、海外の媒体にも作品を提供している。
自らの作品をスライドで見せながらのトークショーでは、enaさんが今の作風を1年かけて見いだした経緯を披露。オーディション通過の前年、実は'03年にもオーディションに挑戦して落選していたという。しかしenaさんはその後の1年間をかけて、digmeoutのプロデューサーやアーティストなどさまざまな人に作品を見せ、「モノトーンに挑戦してみては?」「線が細くて損をしている」「体の影や服の描き込みを消してみては?」といったアドバイスを受けたそうだ。そして、「いろいろ試しているうちに、今の作風になっていった」と語る。
作品の制作は、平均すると1枚に半月ほどかけるという。「描き始めて数時間で納品するんじゃなくて、最後まであきらめず自分の頭の中にある理想を模索していきます。いろいろ試しているうちに、ハッとする線が引けたり、人物の表情が突然よくなったりすると、よかったと思いますね」と、作品へのこだわりにはなみなみならぬものがある。そのモチベーションを支えるのは、「うれしかったこと、かわいいもの、おいしいものを見つけたときに人に伝えたくなりませんか? 絵を描くのもこれと同じで、見てくれた人が共感してくれるとうれしいですよね」という、いたってシンプルな感情だ。
作品を「Adobe Illustrator CS3」で描いているため制作中はずっとMacに向かい続けており、締切後は体がガタガタになるというenaさん。Mac ProやCinema HD Display 30"を使っており、「Mac Proはとにかく速い。モニターが大きいと拡大しても周囲を見ながら描いていけます。それに、Illustrator CS3はポイントを選択しやすくなって、新しい環境にするたびに使いやすくなっていくんです」と、作業効率を考えると最新機材を導入することがベターな模様だ。
最後に会場の学生に対して、「私もまだその途中ですが、何かひとつのことを追求して極めてみるといい。ひとつの分野を極めると、それが糧となって次のジャンルを進みやすい。そうやっていろいろな自分を夢をかなえていけたらステキですね。Macがあれば無限に道が広がります。皆さんもぜひ活用してください」とメッセージを伝えていた。
聞くだけでは終わらない参加型イベント
トークショーのあとは、アップルからの告知だ。特に、会場が美大生ばかりなだけに、学生が全国のアップルストアを無料で利用してイベントを開催できる「College Night」や、Macを使ったデジタル作品コンテスト「第1回:学生デジタル作品コンテスト」の告知に力が入っていた。
なお、enaさんがデビューするきっかけとなった「FUNKY802 digmeout EXHIBITION」では、2008年度のオーディションを開催中。応募締切は、2008年2月1日まで。