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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第9回

「もてピタ」「ちょいワル」を引き立てる薄さ「N905iμ」

2007年12月13日 19時50分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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オシャレの邪魔をしないデザイン


 折りたたみできる薄型ケータイの一番の魅力は、ポケットへ入れやすいところにある。

 ケータイキャリアーの方や端末メーカーの方と話すと、ケータイ全般に関して、「できればパンツのポケットには入れないでください、特にオシリのポケットには」と苦笑いされてしまう。

 しかし街中の状況は違う。男女問わず、パンツのポケットに入れているユーザーは数え切れない。ユーザーにとっては、端末が薄い方が、当然かさばらずに入れておくことができる。ちょっと前にスキニーパンツがブームとなったのも、薄型端末へのニーズを高めた原因になっていたのではないだろうか。

 薄さを享受できるポケットは、何もパンツに限った話ではない。ビジネスパーソンのジャケットやスーツでも、ケータイを入れたポケットが出っ張って、服のラインを崩しているところを見かける。

 端末が薄いことは、スタイルにこだわるビジネスパーソンやオシャレ好きにとって、オシャレの邪魔をしないという大きな価値をもたらしてくれるのだ。

 人を引きつけるケータイのデザインというと、存在感や「愛され感」を増すデコレーション的な要素が思い浮かぶかもしれない。しかし、自分のスタイルを邪魔しない、脇役に徹したミニマルなモノとしてのデザインをいいと思う人もいるだろう。



日本語入力に適さないシートキー


 そんなデザイン面での魅力がある一方で、折りたたみできる薄型ケータイは、キーの押しにくさという課題も抱えている。

 薄さを追求すると、ほかのケータイのような出っ張ったキーを備えることは難しいため、多くの薄型端末はボタンの突起をなくした「シートキー」を採用することになる。

 もちろんパソコン用のキーボードでも同じように、キータッチというのは人の好みが非常に分かれる領域で、同じシートキーでもメーカーやモデルによってできが異なるというのは分かる。

 しかし好みとはまた別のレベルで、シートキーにおけるキーの深さや硬さ、クリック感、キー間の長さなどは、まだ改善の余地があると思う。

 例えばパソコンで言えば、僕は割と豪快に音が出る深めでやや軽めのキーが好きで使っている。しかし先日発売された、アップルの新しい超薄型キーボードは、キーが浅くてクリック感はないにもかかわらず使いやすいと感じた。

Apple Keyboard

アップルの新しいキーボード「Apple Keyboard」。浅いキーストロークとライトなタッチで、キータイプがはかどるインターフェースは新しい感覚だった

 シートキーを実際に使ってみると、硬くてクリック感がないという印象を受ける。言い換えれば、親指だけでキー入力するケータイでは、キーの柔らかさとクリック感が重要なのだろう。

 そしてこの硬くてクリック感がないキータッチは、日本人のように数字キーを連打しながら「かな」を入力していくスタイルにはまったくフィットしないと思う。もし薄型端末を選ぼうと思っている場合は、あらかじめ文字入力を試してみるといいだろう。

 

(次ページに続く)

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