(株)産経新聞社のMSN産経ニュースが11日、(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)が(株)NTTドコモの回線を利用して仮想移動体通信事業者(MVNO)サービスを展開する、と報じた(関連サイト参照)。MVNOサービスとは、移動体通信事業社の回線網を利用して、他業種の企業が移動体通信事業を行なうサービスのことだ。
報道内容は、IIJがNTTドコモの回線網を利用し、HSDPA対応の高速通信サービスを法人向けに提供する、というもの。データ通信量に応じて定額料金の上限が数段階にスライドする独自の料金プランを用意し、IIJの顧客企業約6700社に対して売り込む、とも報じている。
そこで筆者がIIJ、およびNTTドコモに電話取材を申し込んだところ、両社からの回答は「MVNOの話が進められているのは事実だが、これ以上の回答は現段階ではお答えできない」というものだった。なお、IIJからは「来週に正式発表する」との回答を得た。
NTTドコモは、象印マホービン(株)と協業し、遠隔地に住む家族の生活状況(通信機能内蔵ポットの利用状況)を、NTTドコモの回線網を利用して携帯電話機から監視できるシステム(関連記事1)など、回線の使用を制限する形で他業種に向けて協業してきたが、MVNOには消極的だった。今回の報道内容が実現されれば、NTTドコモにとってHSDPA対応のMVNOサービスを提供するのは初となる。
IIJはイー・モバイルとも交渉中
併せて、MSN産経ニュースでは同記事内で、IIJはイー・モバイル(株)ともMVNOサービスを交渉している、と報じた。同様に電話取材したところ、IIJとイー・モバイル双方から「MVNOの話が進められているのは事実」との回答を得た。
イー・モバイルはMVNOに積極的な姿勢で、今年10月22日に同社の回線網を利用したMVNOの推進のため、「MVNOコンソーシアム」の結成を発表(関連記事2)し、今年11月22日に第1回の会合を開催している。参加企業は、NECビッグローブ(株)、ソネットエンタテインメント(株)、(株)ドリーム・トレイン・インターネット、ニフティ(株)、(株)ハイホー、(株)朝日ネットの6社。今月13日にはニフティとNECビッグローブが国内初のHSDPA対応のMVNOサービスを開始する(関連記事3、関連記事4)。