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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第13回

「住宅都市整理公団」に見る、オタク的ではない趣味の愛で方

2007年12月10日 18時00分更新

文● 古田雄介

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歴史や機能には興味が持てない

 

── ダムサイトの萩原さんが、大山さんと一緒にダムを見たときに、大山さんがダムの機能ではなく構造物そのものに興味を示した点に違いを見たとおっしゃっていました。僕は、あの時土木と建設の愛で方の違いなのかなと思ったんです。

大山 そういうわけではないですね。機能とか仕組みは難しすぎて、興味が持てないんです。

 自分のおばあちゃんにダムの機能を説明しても聞いてくれないじゃないですか。そういう人にも興味をもってもらう伝え方というのは、「あのカタチ面白いね」とか、「あれカワイイよね」とか、それくらいなんですよね。

 

── 人に伝えるということに、評価の目が向くというわけですか?

大山 そうです。僕は趣味のプロセスの中で、「入り口」にしか興味がないんです。「ああいうものが街にある」「ああいうものが山の中にある」という部分。その入り口を通過したあとに、機能や歴史に興味を持つ人が出てきて、マニアも生まれる。

 今は僕以外にも団地のサイトって結構あるんですけど、とてもまじめなものが多くて、内容もノスタルジー色が強かったり、歴史を掘り下げたりしているんです。素晴らしいサイトだし、勉強になるんですけど、僕、ノスタルジーが大嫌いなんですよ。ノスタルジーは同じ体験をしている人にしか通じない、身内だけの言語なので。

 そうではなくて、開かれたコミュニケーションとして「ちょっと気になっていた」とか「言われてみれば面白いカタチだな」って気づかせるのは、エンターテインメントじゃなければならない。だから、歴史や機能は僕にとって邪魔なんです。



マニアやオタクではないアプローチ

 

── 意図的に表面的な部分にとどめているわけですね。

大山 ええ。機能や歴史に触れずに表面的なところで喜んでいると、すぐ人は「薄っぺらい」とか言うじゃないですか。でも皆薄っぺらいところからしか入れないと思うんですよ。僕もよく「大山は薄っぺらい。単に団地をネタにしているだけ」とか言われます。そう、ネタにしているんですよ。ネタにしているけど、ネタにならないと興味のない人はいつまでも振り向かない。

 住宅都市整理公団をああいうフザけた体裁にしているのは、エンターテインメントにしたかったからなんです。たとえば、OLがお昼休みに食事しながら個人サイトを見るとしたら、難しそうなものより、娯楽っぽいものに目が向くでしょう。それで僕のサイトを見てもらって、次の日、通勤電車の車窓から、10年見ていた景色の中に「あ、あそこに団地がある!」と発見してもらうのが、僕のやりたいことなんです。

 

── 車窓から「あ、あれツインコリダーだ!」とか。

大山 ツインコリダーまでいかなくていいですけどね(笑)。連休とかあったら、どこに旅行に行こうって皆思うじゃないですか。そんなとこ行かなくても、アナタが住んでいる街も面白いよっていいたいんです。それには表現手法として、ノスタルジーとか機能とか歴史とか物語というのは鬱陶しい。

ツインコリダー 2つの団地を廊下側を向かいにして二列にならべて、その間を吹き抜けにする構造のこと。大山氏はDPZなどでツインコリダーの魅力について論じている

 

── 「団地マニア」と言われていますが、マニアやオタクのアプローチではないですね。

大山 ですね。僕、団地のことよく知らないし(笑)。言い方がないので自分でも「団地マニア」と名乗っていますけど。

 僕がウェブサイトに期待していたのは、パブリッシングなんです。自分のサイトでより多くの人に情報発信していければそれでいい。逆に「Web 2.0」はいらない。1.0で十分というか、1.0もやりこなしていないのにどうして先に進もうとするんだろうと思いますよ。

【高島平団地のここが好き】 前谷津川緑道

高島平団地

「この通りは昔、川だったらしいです。その後に桜の木を植えて緑地化したので、花見の時にはすごくきれいです」(大山氏)

 
古田さん

筆者紹介──古田雄介

 

 建設現場と葬儀業を経てデジタル&サブカルライターに転身。足で稼ぐ記事をモットーに、モバイルガジェットを片手に街を徘徊中。現在、自ブログ「古田雄介のブログ」では皆さんのお勧めサイトを募集中ですが、書き込み一切なしで凹み気味です!

 

*次回は12月17日掲載予定

 

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