今年の受賞作の特徴は、メッセージ性とイノベーティブ
【レポート】Wii、クゥ、広島が受賞!! 「第11回文化庁メディア芸術祭」受賞作品発表
2007年12月05日 15時55分更新
各部門の受賞作品を一挙紹介――アート部門、エンターテインメント部門
次に文化庁芸術文化調査官の野口玲一氏が各部門の大賞、優秀賞、奨励賞の各作品を紹介しつつ、試写が行なわれた。以下は受賞作品と野口氏のコメントだ(以下敬称略)。
<アート部門>【大賞】
- nijuman no borei[映像]
Jean-Gabriel PERIOT - 原爆投下が行なわれて以降の50年の間を、原爆ドームからヒロシマの街並みを見下ろした記録写真でコラージュした作品。被爆、原爆といったテーマそのものは目新しいものではないが、メッセージに強度がある。
【優秀賞】
- Camera Lucida: Sonochemical Observatory[インスタレーション]
Evelina DOMNITCH/DmitryGELFAND - 「音ルミネッセンス」という現象を使って、暗闇で音波を“見る”インスタレーション。生き物を想起させる、不思議な文様が生じてくる。
- ISSEY MIYAKE A-POC INSIDE.[映像]
佐藤雅彦+ユーフラテス - ISSEY MIYAKEの新ブランド「A-POC INSIDE」のプロモーション映像。アルファベットの文字が踊っているように見える幾何学的な動きが、ファッション・モデルの動きを想起させる。複雑な動きを再現した技術の高さが評価された。
- Se Mi Sei Vicino(If you are close to me)[インタラクティブアート]
Sonia Cillari - センサーを内蔵したフロアにパフォーマーが立ち、アンテナの役割をする。パフォーマーに人が近づいたり、触れたりすると、映像やサウンドが変化する。パフォーマの身体感覚を視覚化し、周りの人がそれを目の当たりにするのだ。
- ビュー・ビュー・View[インタラクティブアート]
blue elephant - インタラクティブな装置で、遠く離れたところにある場所に、テレコミュニーションで風を届ける。スクリーンに吹きかけた息が別の場所に伝えるものだ。日本の大学が純粋に実験として制作したものだったが選ばれた。
【奨励賞】
- Super Smile[映像]
Effie WU - 満面の笑みを浮かべた作者が、目をとじないままその表情を変えずに、部屋を案内してまわる。CGや合成ではないのか? 5分以上目を閉じなくても大丈夫なのか? いろいろな疑問が出たが、この不思議な世界を創り上げていることそのものが評価された。
<エンターテインメント部門>【大賞】
- Wii Sports[ゲーム]
「Wii Sports」開発チーム代表 太田敬三 - 任天堂のWiiに限らず、Xbox 360、PS3などハイデフの高画質なグラフィックのパワーを生かしたゲームコンソールが登場した。Wiiそのものがイノベイティブではないかということも出たが、Wii Sportsは世界中の子どもから年配までが夢中になった、世界的に社会現象になったゲームということが評価され、満場一致で大賞に決まった。
【優秀賞】
- DAYDREAM[Web]
勅使河原 一雅 - 日本とロンドンに店舗を持つ帽子屋さんのウェブサイトで公開された。マウスでカーソルを動かすことで、帽子という説明しにくいものをみせる。マウスを使った視覚的効果が評価された。
- METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS[ゲーム]
小島秀夫(KOMAMI) - メタルギアシリーズの最新作。戦争のゲームだが、人をいかに殺さずに潜入できるか、というコンセプトで制作された。ゲーム全体の傾向として、シネマティックな映像に向かっているが、本作は日本が誇る表現力、オモシロサを伴ったゲームの代表格といえる。
- MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd[ゲーム]
「モンスターハンターポータブル2nd」開発チーム代表 辻本良三 - プレイヤーがハンターとなって、大自然に現れるモンスターをハンティングするゲーム。Wi-Fiを使って対戦することができる。
- 気づいていますか。[ショートムービー]
田中英生 - BMWがプロモーションと広告をくっつけた企画で制作した、ウェブで公開したムービー。ウェブだけで見られる映画を日本法人が制作し、ドイツの監督が撮影した。ネットを使った新しい表現がもっと出てきてほしいという意味も含めて授賞した。
【奨励賞】
- 匂いをかがれるかぐや姫~日本昔話Remix~[絵本]
原 倫太郎+原 游 - エンターテインメント部門で初めて書籍が受賞した。自動翻訳ソフトを使って、オリジナルの昔話とは違った面白さがコンピューターから生まれてくるところが大きな評価を得た。