「コンテンツは無料が当然だ」の流れは止まらない
さて、日経ネットPLUSはスタートから約1年になるが、読者からの反響はどうだろうか?
「想像していた以上に、日経の読者はウェブ媒体に対して、新聞以上のものを求めていると感じます。例えば『(新聞には載らない)個々の記者がどんな問題意識をもっているか?』などは、みなさん知りたがっています。だから記者ブログ的なものを載せると、よく読まれるんです」(同)
一方、自社のネット戦略を考える上で感じる読者からの反応というのもある。日経グループでデジタル事業を担当する日本経済新聞デジタルメディアの執行役員、斉藤義信氏は言う。
「インターネットが爆発的に普及するにつれ、若い人を中心に『ネット上ではそこに載っているニュースは無料で読めるんだ』というのが、あたかも前提であるかのようになってきています。ところがコンテンツを維持・継続するためには、当然それなりのコストがかかる。この点は社内でもここ数年、議論がありました。
ですが新聞のほうはもう部数もそれほど伸びるものではないし、広告も今後拡大は期待しにくい。その中で成長していくためには、やはりネットに参画していくこと、また紙の新聞とネットの融合が、メディア戦略として必要です」
そのため日経ネットPLUSでは、さまざまな実験を行なっているが、「ネット時代に新聞として何ができるか? を模索している」(斉藤氏)最中のようである。
松岡美樹(まつおかみき)
新聞、出版社を経てフリーランスのライター。ブロードバンド・ニュースサイトの「RBB TODAY」や、アスキーなどに連載・寄稿している。著書に『ニッポンの挑戦 インターネットの夜明け』(RBB PRESS/オーム社)などがある。自身のブログ「すちゃらかな日常 松岡美樹」も運営している。
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