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開発テーマは「好きこそモノの上手なれ」

あのmixi開発者が語るエンジニアに必要な“資質”

2007年12月09日 16時36分更新

文● 垣内吾郎

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月刊アスキー 2008年1月号掲載記事

mixi 佐藤ニール氏

 恐るべき開発スピードで、次々に新たなサービスを提供し続け、日本国内のSNSのトップランナーであり続けるmixi。その開発部長であり、全体を統括する佐藤ニール氏に、これからのエンジニアに必要な資質についてうかがった。

── 「mixiツール」や「バイラル広告」など、今までの企業では考えられない早さでシステム開発が進められていますが、このスピード感はどこから生まれるものなのでしょう?

佐藤 現在、30人ほどのエンジニアが在籍しているのですが、できる限り担当者がやりたい仕事を与えるのが大切だと思っています。たとえば、写真が好きな人ならば、『mixi photo』を、ムービーの好きな人なら、『mixi動画』を、という感じです。ソコソコその仕事が好きな人に任せるよりもスピード感も出るし、アイデアも当然良いものが生まれてきます。

── 一般的な企業ですと、まず事業計画ありきで、それに従って開発していくスタイルが多いと思うのですが、好きな人に好きなことを、と考えると、事業計画上無理が生じませんか?

佐藤 事業計画はアイデアがあって初めて成立するものですよね。こういう計画があるんだけれどと計画してみて手を上げる人がいなければ、人の手当てができるまで、そのプロジェクトは諦める。僕はそういうスタイルです。もちろんスタッフの間で次々に新しいアイデアが生まれなければ、このスタイルは取れません。

── そうなるとmixiのエンジニアは、常に事業のアイデアを出し続けているということでしょうか?

佐藤 営業部とも密にミーティングをしていますから、そちらからの要望としてのアイデアももちろんありますが、エンジニアから上がってくるアイデアも多い。弊社の場合、『1デイフリーデイ』というエンジニアが自分が興味を持ったテーマに1日費やせる日が1週間に1日あるんですよ。そこから生まれてくるアイデアが実に多様で、それが現実的な開発に繋がっています。

── そこで働くエンジニアにとって必要な資質はアイデアを出すということなのでしょうか?

佐藤 エンジニアにとって一番大事なことは、「こういうことがやりたいんだ」ってモチベーションがまずあることでしょうね。それが原動力になって自分でシステムを作り上げ、そのシステムを愛し、使いこなすことで今のシステムに足り ない部分も見えてくる。

── まず好きであると。お話をうかがっていると、すべての人が良いエンジニアになれる気がします。

佐藤 プラスして大切なのは、コミュニケーション能力かな? オープンソースに関わっているとわかるのですが、言語や年齢、人種を超えて会ったこともない人とメール上でやり取りをして開発していくわけですから、そういう能力は絶対必要ですね。それを併せ持った人がこれから求められていくと思います。

佐藤ニール氏プロフィール

1971年カナダ生まれ アメリカで育つ。アメリカの大学を卒業後、日米で大手ポータル会社にてバックエンドのシステムやセキュリティを担当するチームに所属。ゲーム業界を経て、2007年、株式会社ミクシィに入社。開発部長を務める。

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