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新機種リポート:MacBook (Late 2007) Vol.1

新モデルは速いのか!? MacBookベンチマークテスト

2007年11月20日 04時38分更新

文● MacPeople編集部

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外観上大きな違いが見られないこともあってか、アップルからはプレスリリースすら発表されないサイレントアップグレードにとどまった新MacBook(Apple Storeで見る)。

新MacBook(左)と旧MacBook(右)のキートップ。ファンクションキーに割り当てられたメディアキーの内容が変わるとともに、「num lock」キーが廃止された。その結果、右手側のキーの右下にあったテンキーの内容の刻印も消えている。「fn」キーを押しながらテンキー風の数字入力というワザが使えなくなった

しかし、上位モデルのCPUが2.2GHzに引き上げられ、最大搭載メモリーも旧モデルの2GBから4GBへと増加。何より、MacBook Proと同世代の新チップセット「Mobile Intel GM965 Express」を採用したことに伴い、フロントサイドバス(FSB)が800MHzへ、グラフィックチップが「Intel GMA X3100」へと大幅にパワーアップ。パフォーマンス面では、着実な進化が期待できる。早速、ベンチマークテストでその性能を確かめてみよう。


iTunes 7 AACエンコード

iTunes 7.5を使って、AIFFファイルをAACファイルにエンコードするのにかかった時間を計測した。チップセットやシステムバスの違いは現れず、単純にクロック周波数にほぼ比例する結果。1~2秒は測定誤差の範囲だろう。

AAC Encoding Score

iTunes 7.5を使って演奏時間約40分のAIFFファイルを128kbpsのAAC形式にエンコードする時間を計測した

QuickTime H.264エンコード

QuickTime PlayerのPro版を利用し、DVムービーをH.264形式へエンコードした。iTunesのベンチマークと同じく、結果はCPUのクロック周波数に準じたものだ。

H.264 Encoding Score

QuickTime Player 7.3のPro版を使って60秒のDVムービーをH.264にエンコードして書き出すのにかかった時間を測定

Adobe Photoshop CS3 スクロール/アクション

2Dの描画と実際に即した処理性能を調べるために、「Adobe Photoshop CS3」を使って縦長画像のスクロールと、さまざまなフィルターを組み合わせたアクション処理のベンチマークテストを実施。前者では2Dグラフィック処理、後者ではCPU処理を中心とした総合性能が現れる。スクロール/アクションテストともに、米NVIDIA社のグラフィックチップ「GeForce 8600M」を搭載するMacBook Proがダントツの結果。新MacBookではチップセット搭載のグラフィックチップが「Intel GMA X3100」になり、旧モデルに比べて地力に勝っている。また、アクションテストではメモリーやディスクアクセスの速度も関係するため、FSBが旧モデルの667MHzから800MHzへクロックアップした新モデルが若干ではあるが好成績を収めた。

Photoshop Benchmark Score

「Adobe Photoshop CS3」を使った2種類のベンチマークテスト。スクロールでは縦1万4400×幅640ドットの画像を開き、100%表示で上からしたまでスクロールするのにかかった時間を計測。またアクションでは、さまざまなフィルターを組み合わせた処理の実行時間を計った

CINEBENCH R10 レンダリング

独マクソン・コンピュータ社製の3Dベンチマークソフト「CINEBENCH R10」を用いて、CPUおよびOpenGL(GPU)レンダリングのテストを実行。CPUの結果ではクロック周波数の差がそのまま現れたが、GPUでは新MacBookの「Intel GMA X3100」の潜在能力がハッキリと見て取れる。なお、「Intel GMA X3100」は、Boot Camp利用時にWindows Vistaの「Aero」インターフェースを利用できるほどのパワーを備えている。

CINEBENCH R10 Score

「CINEBENCH」は、独マクソン・コンピュータ社の3Dグラフィックソフト「Cinema 4D」をベースに開発されたベンチマークソフト。3D CGのレンダリングをCPUに任せた場合と、グラフィックチップのOpenGLを利用した場合の2種類に分けてスコアを表示する。なお、前バージョンR9.5とはスコアの現れ方が異なるため数値の比較はできない

Doom 3フレームレート

米idソフトウェア社製の3Dアクションゲーム「Doom 3」のベンチマーク機能を使って、3Dアニメーションのフレームレートを計測した。こちらでも新MacBookのグラフィック向上が現れているものの、独立したグラフィックチップを搭載するMacBook Proには遠く及ばない。MacBook 2.2GHzでは14.4fpsのスコア出ておりゲームのプレー自体には支障はないが、高速な3Dアクションゲームではなめらかで自然な動きとは言い難い。

Doom 3 Frame Rate

3Dアクションゲーム「Doom 3」が内蔵するベンチマーク機能を使ってデモモードのフレームレートを計測した

バッテリー持続時間

画面輝度を最高にした状態でDVDビデオを連続再生し、バッテリーの持続時間を調べた。旧MacBookは約1カ月間日常的に使用しているため正確な値とは言えないが、それを差し引いても現行のMacBookシリーズが優れたバッテリー性能を示している。

Battery

画面輝度を最高にした状態でDVDビデオを連続再生して、強制スリープに入るまでの時間を計測した

ベンチマークテストはいずれも、Mac OS X Leopard、搭載メモリーは1GBに統一して実施した。グラフの数値は旧MacBook 2.16GHzを100とした相対値で表し、バーが右に伸びるほどパフォーマンスが高いことを意味する。なお、実測値はグラフの右側に記してある。


ベンチマークテストを経て明らかになったことは、新MacBookのメリットは描画機能の向上だ。もっとも、その処理性能の差は3Dグラフィック関連でしかユーザーが体感できるほどではなく、一般的な使用ではわからないだろう。また、最大搭載メモリーが旧モデルの2GBから4GBに増え、Boot CampではWindows Vistaの「Aero」インターフェースが利用できるようになったが、いずれもほとんどの旧モデルユーザーにとって乗り換えを検討するほどではない。

とはいえ、MacBookがその時点でプライスパフォーマンスに優れた非常に完成度の高いマシンであることには変わりがない。特に、現行のMacBookはMac OS X LeopardやiLife '08がプリインストールされており、PowerPC Macのユーザーには強くお勧めできる製品だ。


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