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BIベンダーの獲得相次ぐ、今度はIBMがコグノスを50億ドルで買収へ

2007年11月16日 23時00分更新

文● アスキービジネス編集部

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次に動いたのは、IBM――。今年に入ってから相次ぐ、大手ソフトベンダーによるB(ビジネス・インテリジェンス)I専業ベンダーの買収劇。米国現地時間11月12日には、IBMが加コグノスを買収すると発表した。


2008年第1四半期中にIBMのソフト部門に統合の方向


 両社の発表によると、買収総額は約50億ドル(日本円で約5577億円)で、すべて現金により支払われる。1株あたりの金額は約58ドル、純取引総額は49億ドル。コグノスの株主による承認、当局の承認などの手続きを経て、2008年度の第1四半期に買収は完了する予定だ。

 IBMは、今回の買収の狙いを同社の「インフォメーション・オンデマンド」(IOD)戦略の一環と説明。ファイルネット(ECM:企業コンテンツ管理の専業ベンダー)、アセンシャル・ソフトウェア(データ統合ベンダー、旧インフォミックス)などに続く23番目の買収と位置づけている。

 IBM ソフトウェアグループのシニア・バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブであるスティーブ・ミルズ氏は、「顧客はリアルタイムな意思決定のために、部分的ではなく、完全なソリューションを求めている。これまで当社が提供してきたDWH(データウェアハウス)などの幅広い製品機能をコグノスと一本化することで、BIおよびCPM(企業業績管理)に対するIBMの地位を確立させる」と狙いを説明する。

 また、コグノスの社長兼CEOであるロブ・アッシュ氏は、「IBMはコグノスの戦略を補完する上での申し分のない相手であり、製品の重複もほとんどない。幅広い範囲で技術的な相乗効果が望める」との声明を発表した。

 買収完了後、コグノスはIBMのインフォメーション・マネジメント・ソフトウェア部門に統合される予定。また、コグノスのアッシュ氏は、BI/CPMのグループを指揮する職務に就く見込みだという。

 BI業界では、今年3月に米オラクルが経営管理分野で強みを持つ、米ハイペリオン・ソリューションズを33億ドルで買収すると発表(関連記事)。10月には独SAPがBI大手の仏ビジネスオブジェクツを68億ドルで傘下に収めると発表した(関連記事)。一連の動きにより、これまで業界の上位を占めていた独立系のBIベンダーは、ほぼ大手ベンダーが獲得したこととなり、統合後の各社の動きが注目される。また、マイクロソフトなどもBI事業の強化を打ち出しており(関連記事)、業界内の競争はますます激化しそうだ。

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