ラトックシステム(株)は15日、同社東京支店にて新製品説明会を開催し、無線通信技術「ワイヤレスUSB」に対応する日本初の製品、「REX-WUSB1」など3製品を発表した。有線式のUSBハブを、ワイヤレスUSBにより無線化する機器となる。
ワイヤレスUSBとは、有線式のUSBを無線通信に置き換えることを目的として開発、標準化された無線通信技術である。技術の基盤となっているのは、「UWB」(Ultra Wide Band)と呼ばれる、広帯域を使用した高速無線通信技術である。ワイヤレスUSBはUSB 2.0を無線で置き換える技術であり、通信速度も「距離約3mでデータ転送速度480Mbps(理論値最大)」を実現する。既存のUSBと同様に多彩な機器が接続でき、機器間の互換性についても、対応機器の認証プログラムを用意し、認証を取得した機器には「Certified Wireless USB」のロゴ使用が認められる。
今回同社が発表したのは、ワイヤレスUSBハブとCardBus対応ワイヤレスUSB PCカードのセットである「REX-WUSB1」と、ワイヤレスUSBハブ単体の「WD-HUB01」、PCカード単体の「WH-CBA01」の3製品である。
一般的な使用法としては、パソコン側にPCカードを接続し、USB機器をワイヤレスUSBハブに接続して使用する。ワイヤレスUSBハブ側には4ポートのUSB 2.0ポートが用意されている。また、1台のハブに最大で3台までのパソコンが登録可能で、ハブ側のスイッチで接続相手を切り替える、USB切替機の機能も備える。ワイヤレスUSB PCカードとワイヤレスUSBデバイスは、最大32台まで接続可能としている。通信にはAES(128bit)による暗号化が行なわれるので、盗聴の危険もないという。
ワイヤレスUSBハブに接続できるUSB機器は多彩で、キーボードやマウス、プリンターやストレージ(フラッシュメモリー、HDD)、スキャナー、さらにはUSBディスプレーアダプターなど、大抵のUSB機器が接続できるようだ。つながってしまえばユーザーは意識することなく、ごく普通にUSB機器として使えるし、機器の抜き差しも行なえる。会場で披露されたデモでは、ワイヤレスUSBハブにマウスやフラッシュメモリーデバイス、さらに同社のUSBディスプレーアダプター「REX-USBDVI」を接続して、すべてをワイヤレスUSB経由で動作させていた(国内で無線通信機器として使うための認証が間に合わなかったため、デモはアンテナ同士を有線接続して行なわれた)。
しかし同社によると、Windows側のドライバーソフトの問題により、転送帯域を保証する“アイソクロナス転送”がサポートされていないため、一部の機器やアプリケーション(例えばiTunes)などでは問題が発生するという。なお、対応OSはWindows Vista/XPを予定している。Mac OS Xへの対応も前向きに検討しているとのこと。
ワイヤレスUSBは既存の無線LANと直接競合するものではないが、多彩な機器間のデータ通信に利用するという点では、Bluetoothと競合する面がある。しかし、有線のUSBと変わらない感覚で多彩な機器が使えるという面では、ワイヤレスUSBが有利と言える。
期待のワイヤレスUSB対応製品である3製品だが、発売はしばらく先の2008年2月を目標としているという。部材の調達に時間を要するだけでなく、各種認証の取得に時間がかかるためとのこと。価格も現時点では未定だが、セットのREX-WUSB1が1万9800円程度、ハブやカードの単体は1万2800円程度を見込んでいる。