セイコーエプソン(株)から今期リリースされたインクジェットプリンター/複合機の中で、最上位となるのが「PM-T960」だ(関連記事1)。
AOSS対応で無線LAN設定が簡単になった
最上位モデルといっても、同社の複合機ラインナップには昨年のモデル「PM-T990」(関連記事2)が継続して販売されており、本機とPM-T990を比べると6色インクや印刷機能的には同等だ。PM-T990から、光学ドライブを省略している点(CD/DVDレーベルの印刷は可能)や液晶パネルが小型化(4インチ→3.5インチ)されているほか、搭載スキャナーの光学解像度が1クラス低い(最高4800dpi→最高3200dpi)、デジタルカメラのRAW画像印刷機能が省略されたといった違いがあるため、どちらかといえばPM-T990の廉価版といった位置づけとなる。新機能としては、内蔵する無線LANが(株)バッファローの無線LAN設定機能「AOSS」に対応して簡単に無線LAN設定ができるようになっている。
ボディーは、PM-T990など同社の複合機に共通する操作パネルが台形の本体の手前にせり出したデザインで、傾斜した前面とせり出した操作パネルのおかげでやや出っ張った給紙トレイなども目立たない。光学ドライブの省略もあってPM-T990に比べて奥行で約7cm短くなっており、とかく大きさが気になる複合機としては評価したい。特に両面印刷機能は背面に装着するユニットタイプとなっており、T990のような本体内蔵型と比べれば背面が出っ張った状態にはなるものの、両面印刷を必要としないのであれば取り外しも可能で、外せば奥行きは約6cm短くなる。取り外したあとの背面開口部をカバーするパネルも標準で付属する。
同社複合機に共通する幅広い操作パネルは、ボタン類が多い印象こそあるが、電源を入れてメニューから実行したいコマンドを選択し、印刷する画像と枚数を選んで印刷ボタンを押すという一連の操作がパネルの左から右に順に並んでいるため、使い勝手は良好だ。液晶パネルの輝度も十分でかなり見やすいものの、デジタルカメラ画像の「仕上がりView」(補正結果を確認するための印刷前プレビュー表示)など、画像を表示させた場合には、T990の「PhotoFineUltra液晶」と比べるとやはりやや物足りない印象を受ける。
今期の同社プリンター/複合機の特徴である、顔検出による補正機能「ナチュラフェイス」は、プリンターでのデジタルカメラ画像印刷とパソコン側の印刷ソフト「Easy Photo Print」の双方から利用可能な点ではコンパクトプリンター“Colorio me”(カラリオミー)「E-720」(関連記事3)などと同様だ。プリンター側の液晶パネルで確認しながらの操作や、小顔/美白補正の強度をサムネイル印刷して確認できるなど使い方、ならびに顔検出精度や検出時間も同程度となっている。複数人の顔検出も可能で同時に補正することもできるのだが、やはりデジタルカメラの顔検出に比べるとやや検出精度が弱い印象を受ける(正面の顔は検出できるものの、横向きや複数人では検出ミスが見られる)こともあって、今後の検出精度の強化・時間の短縮などが期待される。