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【これだけは抑えておきたいSaaS・ASPの基本】

ますます市場が拡大する「ASP・SaaS」の未来 Part2

2007年11月07日 15時11分更新

文● 話●津田邦和

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2000年ごろの「ASPの失速」報道は、誤った情報による“騒ぎすぎ”が原因だった。しかし着実に実態が伴ってきたASP・SaaSは、さまざまな要素が具体的に準備されて市場に浸透しつつある。まもなく携帯電話の市場もターゲットとなるだろう。


「データ連携」で普及が加速する


 ASP・SaaSの普及に拍車をかける要因があるとすれば、それは何か。津田氏は「データ連携」がそのカギを握っていると話す。

「世の中にコンピュータはたくさんありますが、処理されるデータの多くは孤立しています。しかし、それらの多くは連携して使われるべきもの。だから今の状態は、社会的に巨大なムダといえます。たとえば人間ドックを受けた翌日に風邪を引いて医者に行ったら、また同じ血液検査をしますね。同じ健康保険の財源にもかかわらず、組織が縦割りでデータ連携がないからです。それらがASP・SaaSで連携して使われるようになったらどうでしょう。そうなれば、ASP・SaaSは社会全体のアプリケーション基盤になります。そうなるためには、個々のASP・SaaSにデータ連携の仕組みが備わっていなければなりません。今、そのための技術革新が、次々と行われているところです。これから純日本製のすごい技術が誕生することを期待したいものです」

 日本とアメリカを比較すると、ホワイトカラーの生産性に大きな差がある。日本はアメリカに対して後れを取っており、しかもその差は開きつつある。この差を埋めるには、ホワイトカラーの業務を効率化するしかないが、それにはASP・SaaSの普及が必要だ。

「そのことは今年の経済財政諮問会議でも取りあげられていて、サービス産業や中小企業の底上げを図るために、ASP・SaaSの利用を推進するべきだと結論づけています。それを受けて、総務省は『ASP・SaaS促進協議会』を発足させました。先の内閣の『経済財源政策2007』にも、ASP・SaaSを推進することがうたわれています」

 これから日本は、ブロードバンドネットワークを背景に、世界でも屈指の効率的で先進的なICT社会になる可能性を持っている。ASP・SaaSがデータ連携で動くことにより、世界のどこにもなかった「社会情報基盤」が構築されるからである。そしてそれができるのは、人口集積度の高い技術先進国で、かつブロードバンド整備を完成させた国だけ。現在のところ、ブロードバンドが国内のすみずみにまで張りめぐらされているのは、日本と韓国だけである。


津田邦和氏

著者・津田邦和(つだ くにかず)氏プロフィール

1954年札幌市生まれ。1978年に電気通信大学を卒業後、リコーに入社。1999年にASPICJapanの設立に参加し、現在常務理事。総務省「公共ITのアウトソーシングに関するガイドライン研究会」の取りまとめや、総務省ASP・SaaS推進協議会委員、東京都昭島市IT化3カ年コンサルプロジェクトなどを手がける。その他多数の自治体委員に就任。


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