このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

【レビュー】ブラッシュアップされた高ズーム/高速連写機 オリンパス「SP-560UZ」

2007年11月07日 10時00分更新

文● 行正和義

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 光学10倍クラスの高倍率ズーム機もデジタルカメラの1ジャンルとしてすっかり定着したが、さらに高倍率となる光学12~18倍といったモデルも各社から登場してきた。オリンパスイメージング(株)の「CAMEDIA(キャメディア) SP-560UZ」は、2007年春に発売された「同 SP-550UZ」の後継機にあたるモデルだ。550→560という微妙な型番の変更からも分かるとおり、スペック的にみると有効710万画素から有効800万画素に高画素化されたほかは、一見するとさほど違いがないようにも見える。事実、光学18倍ズームレンズや2.5インチ液晶ディスプレー、CCDシフト式の光学手ぶれ補正、最高秒間15コマ連写などのスペック自体はそのまま継承し、ボディー形状にも大きな変更は見られない。

オリンパスのCAMEDIA SP-560UZ

オリンパスイメージングの「CAMEDIA SP-560UZ」



広角端が27mmに広がり、顔認識機能や
フェイス&バックコントロールも搭載


 といっても単なるマイナーチェンジというわけではなく、各機能がブラッシュアップされ、完成度を高めている。例えば外観を見てみても、レンズ鏡胴部やボディーを広く覆うラバー素材が550UZのグレーからブラックとなり、いささか安っぽい印象から一転して重厚なイメージになった。また、レンズの光学18倍というズーム倍率自体は変わらないものの、撮像素子が1/2.5インチから1/2.35インチに大型化したことによって、広角側が28mm相当から27mm相当に広がった

本体上面

電源を入れるとややもったりした動きでレンズが伸長する。電源ON時でレンズは約27mm(写真の状態)、最大望遠では2倍以上の61mm(いずれも鏡胴最前部から実測値)まで大きく伸長する

 目玉である連写機能に関しても、「高速連写1」モード(毎秒約7コマ)は最大連続7枚から15枚へ、「高速連射2」(毎秒約15コマ)は最大20枚から40枚へと連写枚数が増えている。それぞれ、記録画素数を300万画素相当(2048×1536ドット)/120万画素相当(1280×960ドット)にしないと利用できない点は従来と同様だが、2秒以上の連写ができるようになったので肝心の瞬間を撮り逃しにくくなり、かなり使えるようになった。連写時の際に画像をバッファリングすることでシャッターを押す前からの画像を記録する「プリキャプチャー」機能も、従来の5コマから10コマへと枚数が増えてさらに使い勝手を高めている。

本体右側面

大きめのグリップには前傾したシャッターボタン、ボディ全体とレンズ鏡胴部に巻かれたでラバーなどホールド性や質感はかなりいい

本体左側面

左側面のフタの下にはDC入力端子とUSB/AV端子を持つ。USBとAV出力は兼用で、付属ケーブルを付け替えて利用する

 最も大きな変更はスペック上の数値ではなく、電子的な面でかなり手が加わった点だろう。画像処理エンジンは550UZの「TruePic TURBO」から「TruePic III」となり、新たに顔認識機能を搭載。最近の同社コンパクトデジタルカメラと同様に、顔の明るさ補正を行ないつつも背景の明るさを適正にする露出制御機能「フェイス&バックコントロール」も搭載されている。

本体背面

EVFと液晶ディスプレーは液晶右上のボタンで切り替える。カーソル部を中心とした操作性は特に悪くないが、グリップの握り方によっては右下ボタン(「顔検出パーフェクトボタン」、逆光時などで利用する)を親指の付け根で押してしまうことがあったのが気になった

 これに伴ってインターフェースが若干変更されている。特に撮影時にOKボタンを押すと表示される「ファンクションメニュー」(画面左端に表示され、ISO感度やホワイトバランスなどを選択可能)で連写モードをワンタッチで変更できるようになったのは大きな変更だ。高速連写モードを指定したときは記録画素数が自動的に下がるのは従来機と同様だが、従来機では連写モードと記録画素数設定が別々に用意されていたため、個別に設定したときは単写に戻してもうっかり記録画素数を低いまま撮ってしまうことがあったのだが、560UZではOKボタンひとつで連写モードと記録画素数を簡単に変更できる

 また、連写した画像は再生時には連写ごとに管理され、1連写の画面を選んでからOKボタンを押せばパタパタとGIFアニメのように連続再生される。さらに「展開」(手ぶれ補正ON/OFF)ボタンを押せば、連写内の個別の画像の拡大表示などが可能となる。パソコンに転送するとほかの単写画像と同様に連番の画像ファイルで扱われてフォルダ分けなどは行なわれないのだが、カメラ側で再生するときに連写単位で一括削除などが行なえるため、連射撮影で失敗したときに急いでメモリーカードの空き容量を増やすにも便利だ。

本体と付属品セット

AV、USBケーブル以外の付属品。付属の金具のリングをボディ両側の小孔に通してから両吊りストラップを装着するようになっている

 このほか、顔認識によるAF・AF撮影に加えて、笑顔を自動認識する「スマイルショット」(シーンプログラムから選択)も利用できる。スマイルショットでは画素数が120万画素相当(1280×960ドット)になってしまうが、高速連写を用いて3枚が連写される。顔認識の次のステップとして各社で採用が進むスマイルショットだが、確実に“いい笑顔”をとらえられるわけではないことを考えれば、あらかじめ連写で撮っておいて後から最適な画像を選ぶというのはいい方法だろう。一般的なデジタルカメラの秒3コマ程度の連写では連写の途中で笑顔が終わってしまうのに対し、560UZは高速連写を用いることで短時間の笑顔でもしっかりとらえられる。ただし、笑顔認識そのものの認識(応答)速度がやや遅く、にこっと笑ってもすぐ真顔に戻ったときなどには、撮れないことも多く、実用性にはやや欠けるきらいがある。普段のスナップでは高速連写する機会もあまりないが、流行のスマイルショットと組み合わせることで実用度を上げる工夫は面白い試みだ。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン