スーパーカーの競演再び!
PGRシリーズと言えば、スーパーカーが「これでもか!」というくらい登場すること。マクラーレンF1など、街中ではなかなかお目にかかれないような車も普通に登場してくる。本作ではその特徴をそのままに、間口をさらに広げているのが特徴だ。
例えば、前作まではレースゲームではおなじみの国産車がほとんど収録されておらず、最低ランクの“Eクラス”に日産の「スカイラインGT-R」(R34)や、ホンダの「NSX」が登場する程度だった。しかし、本作では新旧含めたGT-R(関連記事)は残念ながら登場していないが、代わりにマツダの「RX-7 FD3S」やトヨタの「JZA80スープラ」など、日本ではギリギリ一般的とも言えるスポーツカーが収録されている。
また、Eクラスまでだったランク分けも、一気にGクラスまで増えている。Gクラスには「ミニクーパー」や「デロリアン DMC-12」、ボンドカー「TOYOTA 2000GT」などグッとくる往年の名車もラインナップしている。ただし、Gクラスらしく走行スピードは遅い。
ガチガチのレースじゃなくて、エレガントなレースを
同社がXbox 360でリリースしているレースゲームといえば、もう1つ本誌連載でもおなじみの「Forza Motorsport 2」(関連記事)があるが、レースシミュレーターをうたうForza2と比べると、車体の挙動としてはやや大雑把な印象だ。
ドリフト走行や片輪走行など、スタイリッシュな走りを決めると加算される「KUDOS」(クードス)ポイントシステムを採用しているため、ちょっとブレーキでリアが流れ始める。しかし、この挙動のおかげで、連続したカーブを曲がる際にリアを流しっぱなしでクリアーし、「俺ってばカッコいい!」といったような気持ちよさを実現しているとも言える。
また、車の姿勢を変えやすいため、シミュレーター系のレースゲームをプレイした後だと、曲がりすぎてしまってコーナーのインに激突するという弊害もある。30分もプレイすれば適応できる範囲ではあるが、車体がリアルなだけに最初は戸惑うかもしれない。
実績は取りやすい
PGR3では、決められたコースとルールをクリアしていくアーケードモードが主だったほか、実績の数が少なかったので、いまいち解除される感じが乏しかった。本作では2倍の50個に増えていることもあって、最初のうちはプレイするたびに実績が解除されるので楽しい。また、難易度の高い実績は点数が低く設定されているので、無理に解除しなくても700~900くらいは楽に行けるだろう。
PGRといえば「Geometry Wars」
もちろん本作でも内蔵しています
PGRシリーズといえば、初代Xboxで発売された「PGR2」から、ガレージの隅にひっそりと置かれているシューティングゲーム「Geometry Wars」(ジオメトリーウォーズ)シリーズも特徴のうちのひとつだ。もちろん本作でも収録されており、新作「Geometry Wars Waves」としてガレージに置かれている。
前作までは、生き延びる時間の長さによって敵を倒したときの得点倍率が上がっていたが、本作では敵を倒したときに出るチップのようなものを取っていくことで倍率が上がっていく。なお、Geometry Wars Wavesによる実績は用意されていないようだ。
ステアリングコントローラーとのマッチングは今ひとつ
本作は、今年5月に発売された「Xbox 360 ワイヤレス レーシング ホイール」にも対応している。ここでは筆者に代わって、自宅でこのステアリングコントローラーを利用して、レースゲームを楽しんている週刊アスキー編集部の伊藤氏によるインプレッションをお届けする。
ハンコンでの操作感は、大ざっぱに言うと一昔前のゲームセンター的。ハンドルの中心付近から、しばらく切り込んだあたりまではフォースフィードバックが効いているが、そこからさらに切り込むと、突然フィードバックがなくなる(大幅に減る)というセッティングになっている。
Forza2なら、この症状はフロントのグリップがなくなったという感触なのだが、PGR4では、機械的にある角度から必ずグリップがなくなる印象で、シミュレーター感が薄い。この点だけは個人的に残念。
ただし、逆に言うと(←片山右京風)、Forza2よりはかなりカジュアルに遊べる。初めて走るコースでも、ヤバそうなコーナーではブレーキを適当に踏んでドアンダー出しながら減速→大回りでコーナークリアーとかやっても、一応ゲームとして成立するような感じ。
Forza2の場合は、即座にコースアウトかスピンになっちゃうので、その時点でリスタートするしかないのだ。
独特の疾走感や、とにかく美しい周囲の景色などは、Forza2にはないものだし、非常に爽快感がある(デモ版の街中を走るステージで、雨上がりの空の雰囲気がなんともイイ感じ)。気楽に楽しめるアーケードモードで、ストリートを猛スピードで走り抜ける快感を、ちょっとした空き時間に味わうというのが、個人的にオススメの遊び方ですね。
ちなみに、バイクは……あれはオマケだと思ってます(笑)。PS2の「ツーリストトロフィー」くらいの完成度ならよかったんだけど。
意欲作として感じるも、物足りなさもある
Xbox 360が発売されてから、そろそろ2年近くが経過することもあって、ハードのパワーを引き出したソフトが数多く出てきている。そんな中で前作「PGR3」のリリースから1年半ほどで発売された本作。車種が増えて、コースが増えて、と前作から正常進化しているのだが、正直なところとしては物足りなさを感じる。
見比べてみると、確かに前作より画面は細かく綺麗になっているが、「次世代機ならでは」といったポイントが見つけにくいのも事実だ。開発元のBizarre Creations社がマイクロソフトの元を離れ、米ACTIVISON社の傘下になることが決まっている今、BizarreとしてのPGRは本作で最後となるが、次回作がもし出るのであれば、より刺激的なレースゲームとなることを期待する。