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「実はニコニコ動画はあまり見ていないんです」

内輪ウケをオープンに──手塚眞が語る「国際ニコニコ映画祭」の狙い

2007年11月02日 21時04分更新

文● 松本佳代子、編集部 語り●手塚眞 写真●三井昌志

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「新しいメディアは、カオスから始まる」


 その速い決断の一方で、イベントのビジョンは当初から固まっていた。ニコニコをオープンにして、飽きのこないエンターテインメント作品を呼び込もうという野望だ。

「ニコニコは、初期の小さなコミュニティーから、新しい社会的なメディアとして成長している最中で、もっとオープンに、もっとみんなで楽しめるようなエンターテインメントになる必要があるんです。そのための第一歩として、映画祭の意味があるだろうと思います」

 これまで、ビジュアリストとして数々の新しいメディアの立ち上げに関わってきた手塚氏は、今がニコニコの成長時期だと直感している。

「今のニコニコは『心地よいカオス』状態になっていますよね。これはいいことで、新しいメディアの初期は、カオスから始まらなければいけない。でも次の段階に成長するには、このカオスの中から少しずつ、力強い面白さがでなきゃならないんです」



一発芸ではない、息の長い作品を


 それでは、力強い面白さとは何だろう。

「今のユーザーさんたちは、刹那的になっていて、一発芸的なものを期待している。でも、それだけだとやがて飽きがきます。そのときにメディアごと飽きられてしまうようにならないために、エンターテイメントの前例を見せる必要があるんじゃないかな、と思うんです」

 ニコニコ動画に集うクリエイターに、息の長いエンターテインメント作品を作る切っ掛けとなってほしい──。ニコニコ映画祭には、そんな熱い思いが込められているようだ。

「単に『ニコニコのために』というだけでは作品を作る気にならない人でも、映画祭というコンテストが開催されればテンションが上がるかもしれません。映画祭を開く理由もそこにあります。といっても映画祭自体、まだどんなものか分からない。だからこそ何か面白いことが起こるんじゃないか。『いろいろな作品が集まってくるんじゃないか』と思っています」


(次ページに続く)

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