根底には「任せておけばいいや」の意識の甘さがある
また、たとえば最初に調達・マネジメントのルールがしっかり決められていたとしても、プロジェクトの進行フェーズでルールがなし崩し的に乱れ、最終的に納入側が自分たちがやりやすい方法で作業を進めてしまうことも現場ではよくあります。これは、できあがった成果物の外見は繕っているけれども中身は混沌としているため、メンテナンスのときにトラブルが起きるという事態につながりかねません。トラブルは開発段階より、運用時やメンテナンス時に起きることが多いのです。それは、システムは開発期間よりもはるかに長い期間で運用されるからです。そのことをしっかりと念頭に置いて、納入側に中身も整えられた成果物を納品してもらえるようにマネジメントしなければならないと考えて下さい。
さらに、受注した会社がより下請けに発注するときにはルールがもっと曖昧になりやすくなります。それを防ぐ方法は、まずスタート時に調達側がしっかりとルールを説明し、そしてプロジェクト進行の途中にルールどおりに行なわれているかをチェックすることです。これを行なうだけで、トラブルはかなり防げると思います。
かつては系列の会社が下請けを育てるという意識がありました。知識や経験は調達側の方がはるかに豊富に持っていたのです。しかし、今では納入側の方が力をつけ、調達側にスキルが足りないという状況でしょう。調達側は、このスキルの差を埋める努力が必要なのかもしれません。
しかし、調達側がマネジメントできないのは、知識や経験の不足によるところだけではないと思われます。「任せておけばいいや」という甘えや、意識の低さが根底にあるのです。つまり、調達者としての意識がプロフェッショナルではないということでしょう。一方、受注者は「先方はどうせわからないだろう」と高を括っている部分もあるのかもしれません。双方ともに、そのような考えを捨て、ルールに則ってプロジェクトは進めていくべきです。
プロジェクト成功のポイント
・調達先から納入された成果物はきちんと検収する
・調達契約を結んだらプロジェクトの特に設計や運用ルールを納入者に説明する
・プロジェクトの進行過程の途中段階でも調達先の状況をチェックする
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